簡単には口にしてはいけないけれど、最近よく耳にする。形骸化されたその言葉に真剣に向き合う主人公。最後の一言には想いを重ねずにはいられません。
技量がすごい。物語序盤ではスローテンポな流れで進み、中盤で畳み掛けるような人生劇、そしてそのまま、最後の一文。小説自体はそんなに長くないのに、1人の人生をしっかりと追った感覚になります。ショートフィルムのようで、何度も読み返したくなる小説です。