第91☆影響されたい本だけを読もう!

 逆に言えば、自分の文体が揺らいだり、乱れてしまう文章を読んではいけない。


 目次読みをして、気になる章だけ読んで、判断されたし。

 影響された方がむしろ「勉強している人だ」と評価されたりするものだが、プロにはそういうのは通用しないので。

 いくらアルバイトの下読みだからって、

「あ、こいつは田中芳樹の本を片手に書いてるな」

 というのを選考に通したりはしません。


 プロになったらなったで、出版社から要望が来ます。

「菊池秀*さんの文体で、当社のレーベル(ジャンル)を書いてください」

 とかって……。


 二次創作っていうか。

 そういう世界なんですよ。

 あきらめて、文体を変幻自在にしておくことです。


 古いのでびっくりされるかもしれませんが、以前、さくらももこさんが匿名で、旦那さんと書かれた『幕の内弁当』というエッセイがありました。

 その中で、吉本ばななさんが、幕の内弁当の文体をまねて一章分だか、どれくらいだったか、書いておられて。

 で、さくらももこさんは思うわけです(お亡くなりですが)。

 ああ、これがプロなんだ……って。


 別に吉本ばななさんが、曲芸みたいに文体をまねたから、だからプロってあんなことまでできちゃう、すごい! っていうのではないんです。

 吉本ばななさんは、幕の内弁当のファンであり、その文体をマスターしていた。

 それだけ、研究しているから、一瞬でもまねて書けたということです。


 けれど、経験から言いますが、文体にも相性がありますから、自分で書いていてしっくりこない、というのはおススメしません。

 プロになったら、あきらめて書きましょう。

 それまでは、影響されたくない(気分が悪くなる、気持ちが落ちこむ、スランプになる、など)文章は極力読まないことです。

 好きな本を好きなだけ読めるのは、アマチュアのときだけですから、趣味ならどんどん読みましょう。

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創作のためのおぼえがき れなれな(水木レナ) @rena-rena

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