概要
その女の子には××が無かった
<序文>
海の見える小高い丘の町。
その町の割と高い所に、私の店兼自宅があった。
暗く狭い路地を進み、ふっと通り過ぎてしまいそうな小さな雑貨屋。趣味で集めたものや自分で描いた絵ハガキを売っている。
時々、近所の人や迷い込んできた観光客が少しずつ買っていく。
案外、私の描いた絵ハガキは人気だったりして、中には定期的に来て、買っていく人までいる。
特別流行っているわけでもない。この穏やかな町のゆっくりと流れる時間に身を委ねるように、日々を過ごす。
「あの人」がいなくなってから、絵が描けなくなってから、一体どのくらいの時間が経ったのか分からないけれど。きっとこのまま――独りで。
海の見える小高い丘の町。
その町の割と高い所に、私の店兼自宅があった。
暗く狭い路地を進み、ふっと通り過ぎてしまいそうな小さな雑貨屋。趣味で集めたものや自分で描いた絵ハガキを売っている。
時々、近所の人や迷い込んできた観光客が少しずつ買っていく。
案外、私の描いた絵ハガキは人気だったりして、中には定期的に来て、買っていく人までいる。
特別流行っているわけでもない。この穏やかな町のゆっくりと流れる時間に身を委ねるように、日々を過ごす。
「あの人」がいなくなってから、絵が描けなくなってから、一体どのくらいの時間が経ったのか分からないけれど。きっとこのまま――独りで。