双葉に惚れたお嬢様
その日、久遠中学校校門前に、一際目立つ、黒光りしているリムジンが停まっていた。そこを、生徒達が避けるように通って行く。
「お嬢様。着きました」
白髪に白髭の、スーツ姿のナイスミドルが、後部座席のドアを開けて、中にいる人物に呼び掛ける。
「ええ、ご苦労様」
リムジンから、一人の女子生徒が姿を表した。その見た目、金髪を肩まで伸ばしたロングヘアー、そして、碧眼の、明らかに日本人離れした、欧米の血を多分に含んでいると思わしき、少女が、色白の透き通るような肌を外界に晒した。
「クリストファー。バッグを」
「はっ」
学生鞄を執事に持たせて、優雅に校門を抜けて行く少女。その眼前には、ある男子生徒が映っていた。その生徒は、黒髪の、癖の無いストレートに、長い睫毛に大きな瞳が特徴的な、中性的美少年だった。
「きゅん」
少女は、自身の、同じ年齢のソレと比較しても、圧倒的なサイズを誇っている胸に、ソッと手を当てて、深い呼吸をした。
「あ、おはよ」
少年はニコッと微笑んだ。
「ああ、おはようございます」
辿々しく返事をする少女の眼前に、思わぬ不純物の姿が見えた。
「よう、双葉」
銀髪の、見るからに軽薄そうな、少女が最も意味嫌うタイプの、所謂バカな男子がいた。
「檜山銀二」
少女はギリギリと奥歯を鳴らしながら、あまりにも対称的な、二人の男子を見ていた。
少女の名は、イヴ・ペンバーという。西洋魔術の重鎮であり、特に、水属性魔術を専門としている。
くしゃみで変身?~美少女×王子様~ @yoshiki0413
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