第3話 ヒールの女
死体にとって最も大事なことは、死んでいることだ。
どのくらい大事か。
さて、そろそろ、女が近づいてくる。 俺はまた死体に戻らねばならない。 このピンチを乗り切るには、何をされたとしても、死体らしい反応をしなくては。
さっそくと言わんばかりに、女が俺を
「ドフッ、ドゴォォ、ドムッ、ジャバア」
俺は悟られぬよう腹話術をやってみせた。女の紅いヒールは、ジャバりと
蹴られた
(ここには図解が入る。文章だけでは、わかりにくものだ)
腹話術といえば、「
「チッ、つまらない奴だ」
女が唾とともに、独り言を吐いた
女はうろうろしている。おまけに足は震え、 言葉とは裏腹に、ひどく動揺している様子だ。このまま電話を掛けに、携帯を取りに戻ってくれるならば、その隙に
「私の携帯はどこだ」
よし!と思わずガッツポーズ。しまった油断した! 死体のまま、握った拳を突き上げてしまったのだ。 おそるべき
「ゴフッ、オッオッ、オボボボボ」
天に突き上げた拳は、ちょうど女の腹に突き
今すぐにでも、去る季節が到来したのだ。 落ち葉を拾う前に、紅葉を堪能している場合ではなくなったのだ。読書の秋などと、文庫本を取り出す間に、真の死体になりかねない。
「オポポポポ」
女は、七色の何かを、
すかさず、女にタックル。
突如、紅いヒールから刃が飛び出した。紙一重が災いし、鼻の上に傷をのこした。出血。肉を切らせて筋も切る。十分に筋を切ったモモ肉はうまい。帰ったら、レシピサイトで
さらに、
「
蹴りの軌道上にあったダビデ像(俺)は、ビーナス像(俺)へと変貌を遂げた。ジャバりとアレが落ちた。あまりの痛みに、俺は意識を失っていた。
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後日、出血多量で死んだ俺は、
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