ジャバと紅い女
トビーネット
第1話 面接官の女
「えー、先日ジャバの件で電話したものですが…」
「入って」
眼鏡をクイと上げるその女は初対面にも関わらず、馴れ馴れしい口調で答えた。紅いスーツに身を包み中央に
「失礼します」
「貴殿のターゲットは?」
唐突だ。しかし、ここは就活という
俺は〝
「御社のコキャクです」
「ふむ。それでユーザーは?」
「は?」
思わず声にでてしまった。……
いや、違うから聞かれているのだ。ここで間違えれば、俺のたつ床に風穴が開きかねない。地獄に落ち助けをこう〝
「ジャバ……ですかね」
「ジャバだと!?」
目の前の
「いえ、ジャバを期待するユーザーです」
「そうか」
女の上がっていた肩はゆっくり下がると、次には眼鏡が上げられていた。すかさず、遺伝子のように組替えられる女の足。
「では、顧客が抱える
こちらを睨みながら組み換える足からは、若干高圧的なオーラが感じ取れた。
足の組み換えに気を取られている隙に、女は眼鏡をクイクイ上げたのだった。
----
「それでは、最後の質問です」
女は突然に口調を変えた。変化は、物語の終盤を告げていた。ゴクリと喉がなった。
「さて、私は何度メガネを上げたでしょう?」
この質問!? 就活サイト「
「32回です!! 足は8度組み換えられました。組み換え間隔の中央値は3分50秒です。分布は…」
「な、足!?」
必死のアピールが効いたのか、物陰から椅子をずらすような音がした。次にジャバりとボタンを押下する音が聞こえた。そして俺の座っていた床には、大きな穴が開いたのであった。
こうして、蛇足を披露した俺は、のちにジャバの更新によって採用不可を知ることとなった。インフラとなったジャバ更新プログラムは、今や
俺は
最後に聞こえたジャバり音、あれは、いつもダウンロードするときに押す
さて、今日も面接に行こう。その前に、就活サイト「
----
後日、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます