童貞が利用されています。しかも、コジラセ怪獣の退治に……この設定だけで泣ける。彼は優しくて怒ることができなくて、キレることくらいしか出来ない弱い存在なのに。いや、面白いんです。笑えます。ハイセンスです。しかし童貞でなければいけないヒーローだなんて、本質的に悲劇。ラストでの彼の明るさは、もう涙なしでは読めない。
童貞の力を武器にするSFもの。もう一行目で作品に引き込まれましたね。一気に読んでしまいました。ほぼネタ小説ではありますがそこにはしっかりとした起承転結があり、読了時に謎の満足感が得られるそんな作品です。このバカバカしくもスッキリとする奇妙な感覚は、読まないとわからない独特なものですので、未読の方は是非読んでみてください。
タイトルを見る。ふっと力が抜ける。冒頭を読む。さらに力が抜ける。完全にネタじゃないですかやだー。とは思うのだが、よくわからない勢いと説得力に引っ張られて、つい最後まで読んでしまう。途中から「あ、これわたしの知ってる童貞じゃないな」とは思いつつ、程よいバランスで配置されたメタトークをはじめ、ネーミングセンスだったりツッコミどころの多い展開のおかげか、全く飽きることがなかった。余談だが、読み終わってみるとタイトルがどこか切なく感じる。うん、異常なしってそういうことか。やめたげてよお。
童貞を武器にする小説はけっこう有りますが、ここまでストレートに扱うと、清々しいの一言に尽きますね。本編のバカっぽいノリと合わせて、かなり楽しめる作品です。
ほんと、オープニングの1行目からがっつりと首根っこを掴まれるパワーがあるわ。走り出した勢いに任せて空を飛んでいくような、そこにある疾走感はさすが。読んでいて気持ちがいいくらいです。短編で、登場人物が3人しか出てこないってのに名前をかぶらせるなんて、作者さまのネーミングセンスは半端ないですな。勝ちです。もうセンスと疾走感の勝ちです。
まさか開幕の「見つけたわ、彼童貞よ」の一言で、リアルにお茶吹く日が来るとは思わなかった。ナンセンスとハイセンスが融合した文体が、素敵に生暖かい空間を作り出してました。読み切りか……きっとたかしは一生、童○のままなんでしょうね……