最新五話まで読了。キャッチコピーにある通り、改造ゾンビッチたちが飲んでヤって寝る話ですが、脳天気に享楽的な生活を送っているのは「苦しい」からでもある、ということがよく分かりました。一見エロ・グロ・ナンセンスなバカ話だけど、それで終わらないこの物語は、一度はまると抜け出せない魅力に満ちていますね。今後も更新を楽しみにしています!
▼以前のレビュー
三話まで読みました。連作短編シリーズということで一つ一つの話は独立しているのですが、新入りゾンビッチ視点で語られる三話目からが、やはり世界観などを理解しやすくていいのではないでしょうか(一話目はのっけから三文字ワードがありますし……)。
肉体を改造し、武器を搭載されたゾンビ(なぜか女性限定)が、異形の化物を殺し、それを金銭に換えて酒と博打とセックスに興じる「亡者の楽園」。退廃的なはずなのですが、その退廃も享楽も、荒野のようなカラッと明るく乾いた味わいがあり、あまり嫌悪感を覚えませんでした。というか、三話のモモの「気持ち悪いけど気持ちいい」に関する主張や、卑猥なワードを含みつつもセンチメンタルな味わいがある歌といった所に、作者のセンスがチラリズムしているのもいいですね。
個人的には、ママ(と恐らく先生)が、なぜこの楽園を作ったのか、正体は何者なのか、かつての世界はどうなってしまったのか……そういった部分もかなり気になりますが、そこは置いておいて、このシリーズを楽しませていただきたいと思います。
まずテキストを開く。第1話の1行目から飛び込んできた文章に、思わず我が眼を疑った。
なんと女性器の蔑称が、人目もはばからずに文字化されているのだ。
人一倍の良識派を自認するワイ者などは、危うく脊髄反射でブラウザバックしてしまうところだった。せめて伏字にするか、たとえば「お饅頭」のように敬語表現の接頭辞『御(お)』で装飾し、印象を和らげるべきだろうに。
しかし……眉を顰めながらも読み進めていくと、たちまち作品世界の虜と堕ち果てる。脳髄の真芯まで刺し貫かれヤラれてしまう。直球がいいのだ。外面の宜しい曖昧な表現など、たしかに必要ない。
刹那の享楽に生きる(死んでいるが)改造ゾンビッチどものコスチュームや武装ボディのディテール。
ハイテンションなナレーション風に煽りつつ、映像感に富んだアクションで見せる異形クリーチャーとの疑似ファック的な激烈バトル。
淫靡/傲慢/狡猾/妖艶/可憐/敬虔(?)……魅力あるキャラが織り成し変化していく、レスボス的セクシュアルな愛憎の曼荼羅。
と……ワイ者の大好物な要素満載である。
旧世界での“神”という概念が死滅した冒涜の荒野にて。繰り広げられる新世紀の見世物小屋めいた猥雑感。しかも粗暴一辺倒ではなく、端々にユーモアや情緒を練り込むのも忘れていない、小憎らしいまでの作者のセンスに心酔してしまう。
なお個人的には(ワイ者がファンなので)『血まみれスケバンチェーンソー』『巨乳ドラゴン』の三家本礼 氏の絵柄をさらに描きこんで『バイオレンスジャック』後期の永井豪 御大っぽい劇画調にしたヴィジュアルが想起されている模様。
そして、なによりも本作がSFでもファンタジーでもアクションでもなく堂々と<ホラー>ジャンルで健闘している(現状ランキング7位!)事実が<ホラー>ガチ勢としては頼もしく、あまつさえ誇らしくすらあるのだ。
正直【カクヨム】運営が提唱する<ホラー>=“恐怖”と限定した狭義の解釈には懐疑的なワイ者である。
また厚顔無恥な確信的ジャンル詐欺が横行しているのは、なにもホラーに限ったことではあるまいが。ここはひとつ<ホラー>の化けの皮を被った勃起不全の包茎インチキ野郎どもを、この苛烈にして痛快な物語で蹂躙して欲しいと願うばかりだ。
連作短編として、これからも綴られていくであろう。この荒廃した世界を更なる脳漿と血肉そして淫欲の汁にまみれた感傷で埋め尽くしながら。
その混沌とした狂宴を目の当たりにリアルタイムで立ち会えていることが、読み手として望外の悦びなのである。