猥雑なる愛憎と暴力の絵巻――血しぶき、肉躍るッ!

 まずテキストを開く。第1話の1行目から飛び込んできた文章に、思わず我が眼を疑った。
 なんと女性器の蔑称が、人目もはばからずに文字化されているのだ。
 人一倍の良識派を自認するワイ者などは、危うく脊髄反射でブラウザバックしてしまうところだった。せめて伏字にするか、たとえば「お饅頭」のように敬語表現の接頭辞『御(お)』で装飾し、印象を和らげるべきだろうに。

 しかし……眉を顰めながらも読み進めていくと、たちまち作品世界の虜と堕ち果てる。脳髄の真芯まで刺し貫かれヤラれてしまう。直球がいいのだ。外面の宜しい曖昧な表現など、たしかに必要ない。
 刹那の享楽に生きる(死んでいるが)改造ゾンビッチどものコスチュームや武装ボディのディテール。
 ハイテンションなナレーション風に煽りつつ、映像感に富んだアクションで見せる異形クリーチャーとの疑似ファック的な激烈バトル。
 淫靡/傲慢/狡猾/妖艶/可憐/敬虔(?)……魅力あるキャラが織り成し変化していく、レスボス的セクシュアルな愛憎の曼荼羅。
 と……ワイ者の大好物な要素満載である。

 旧世界での“神”という概念が死滅した冒涜の荒野にて。繰り広げられる新世紀の見世物小屋めいた猥雑感。しかも粗暴一辺倒ではなく、端々にユーモアや情緒を練り込むのも忘れていない、小憎らしいまでの作者のセンスに心酔してしまう。

 なお個人的には(ワイ者がファンなので)『血まみれスケバンチェーンソー』『巨乳ドラゴン』の三家本礼 氏の絵柄をさらに描きこんで『バイオレンスジャック』後期の永井豪 御大っぽい劇画調にしたヴィジュアルが想起されている模様。

 そして、なによりも本作がSFでもファンタジーでもアクションでもなく堂々と<ホラー>ジャンルで健闘している(現状ランキング7位!)事実が<ホラー>ガチ勢としては頼もしく、あまつさえ誇らしくすらあるのだ。
 正直【カクヨム】運営が提唱する<ホラー>=“恐怖”と限定した狭義の解釈には懐疑的なワイ者である。
 また厚顔無恥な確信的ジャンル詐欺が横行しているのは、なにもホラーに限ったことではあるまいが。ここはひとつ<ホラー>の化けの皮を被った勃起不全の包茎インチキ野郎どもを、この苛烈にして痛快な物語で蹂躙して欲しいと願うばかりだ。


 連作短編として、これからも綴られていくであろう。この荒廃した世界を更なる脳漿と血肉そして淫欲の汁にまみれた感傷で埋め尽くしながら。
 その混沌とした狂宴を目の当たりにリアルタイムで立ち会えていることが、読み手として望外の悦びなのである。

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