第4話「囮勇者のモンスター討伐4」
城壁は磁鉄鉱に守護魔法をかけているため非常に硬く、破壊されずらい。
そこにぶつかったからにはそれ相応の痛みを受けるわけだ。
城壁に当たると痛みを感じる前に意識が遠退いていった。
「エスタロス!!」
「ライト様!!」
二人の女性は張りつめた声で俺の名前を呼んでいる。
目を開けると、上からエルメロとキュールが心配そうな顔をして俺を覗いていた。
俺は気絶してしまったのか?
そうだとしたらここは家のベッドなはず。
だが居心地がかなり悪い……。
視界が太陽からの光で安定しない。
これは部屋の明かりだろうか。
「あれ……?ここは?」
「起きましたか!」
鼻を針で何度も刺されているのではないかと思うほど刺激がする。
「あれ……俺は何をしてたんだろうか」
先ほど何をしていたのかなどを思い出せない。
勿論記憶喪失とかではない。
二人は息を吐いて安心した表情になる。
そして横を行き来する大勢の民衆。
ここはどこなのだろうか。
「私が一撃を入れたら王国まで吹き飛んできてしまったのだ。気を失った様子だったのでとりあえずこの観衆の中寝そべらせている」
「おい!!殺す気か!!」
「すまない。ブヒーモスの臭いがあまりにもひどかったのでつい」
今気づいたのだが俺が寝そべっているところは王国の城下町のエルボー通りだった。
どうりで背中がヒンヤリして気持ちかったわけだ。
ふつう気絶してる人を道端で寝させないよな。
まずそこからおかしいだろ。
「その前にベッドで寝させてくれてもいいだろ!!」
「シーツ、掛け布団、部屋がブヒーモスの唾液の匂いで臭くなるんだぞ」
それを言われると納得するほか無い。
俺が何も言わずに黙り込んでいるとエルメロは俺の手をとる。
「でも……こんな目になったのはわらわのせいだ。帰ったらご奉仕しよう」
"ご奉仕"その単語が俺の全神経を刺激する。
それを聞いた瞬間どこからか元気が出る。
それはなぜなのだろうか。
俺は身体を起こして、東の方角を指差す。
ここから東にエルボーデン集会所があるのだ。
「よしっ!!クエストを報告しに行くぞ!!」
「なんでそんなにいきなり元気になるんだ」
「ライト様…まさか……気絶は私達にご奉仕をさせるための演技…なのですか?」
「そんなことあるわけないだろ!!」
断じてそういう訳ではない。
いや、そういうことだ。
囮勇者ってのは疲れるからご奉仕してもらわないと辛い。
囮勇者な俺は疲れるので、PTの可愛い娘達にご奉仕してもらうとします。 繰咲絢 @kurusaki1111
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