第8話

〜エピソード2〜

【ハチミツ童貞物語】

中学生時代の同級生との再会


中学生当時、ビートルズやベンチャーズ人気絶頂で、俺の通った田舎の学校でもちょっとしたギターブームが到来した。

最初はみんなホウキやモップをギターに見立て、女子からの気を引こうとピエロの様になっていた。

S君は、何故かエレキギターをいち早く手に入れ、毎日練習をしていた。

しかし、テレビで見るビートルズが持っているエレキギターとは明らかに違う、異様なフォルムをしたギター。

あらゆる箇所が湾曲し尖った形状をしていた。

S君は、異常な程に早く弾く練習を毎日していた。

そんなS君が大人になり、地元ではちょっとお洒落なバーを経営してると聞き、帰郷した際に顔を出した。

当時からは想像つかない程に小綺麗になったS君を見て、時の流れを感じた。

髪の毛はかなり薄くなり、いよいよ崩壊寸前だが、面影は残っている。

店内から「アイツ我孫子じゃね?」ヒソヒソ声だか聞こえる様に会話する声がした。

振り向くと、見覚えのある連中だった。

軽く会話をすると、一緒に飲もうよと言われ、断る理由もなく合流した。

チンピラみたいな奴

チンピラの女

天然パーマのお調子者

ハチミツ園に務めている童貞君

Tさん

ヒロポン中毒の知らない女


みんなハチミツ童貞をからかいながら酒を飲んでいる。

ハチミツ塗ってオナニーしてるの?

オナニーハニー?

なんでまだ童貞?

…そのまんまだな。


最初は笑っていたハチミツ童貞君だが、

突然テーブルをひっくり返し、意味不明な言葉でわめき散らし始めた。

全く何を言っているのか分からなかったが、一瞬聞こえた台詞が

「ミツ蜂は刺したら死ぬんだぞ!俺っちの針はまだ誰にも刺してねーずら!刺したら死ぬ!」


後日談だが、結局誰にも針を刺す事無く、長年患っていた疾患で若くして他界したらしい。


まあそれはまた別の話し

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パラレル大宇宙劇場 アヴェ・マサダ @AveMasada

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