美しく構成された良質な短編

全体にたいへん美しくまとまったお話でした。

まず冒頭。向かいのホームに何があるのか...という疑問とともに読み手に興味を抱かせ、適切な間を置き地縛霊がいることが示されます。ここで物語の方向性がわかりさらに読み手を引き込みます。さらに、主人公に幽霊が見えるのだということが無理なく示され、あとの大きな展開への伏線としてしっかりと機能しています。

その後も、小学生の時の思い出や恵美たちとのやりとりの中にさりげなく伏線が置かれていて、物語の転換期て見事に回収されていました。伏線がきれいに回収されることで、なるほど、というカタルシスを味わえます。

一つのオチとも取れる転換期のできごとの後、ラストでもう一つひっくり返すのも構成として綺麗です。

情景描写も綺麗でした。

なんとなく、麻美が主人公の告白を後押しする理由がよく分からなくてモヤモヤしましたが、それを差し引いてもとても良い作品でした。

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