タイトルはまだ無い

呂聖

プロローグ

世界の中心にそびえ立つ魔導士の塔


いつの時代からあるのかさえ誰も歴史も語ることはない


神が建てたとされる魔導士の塔はただそこに存在した


そこで暮らすのは世界でただ一人の魔導士


魔導士の存在によって


世界の魔法は


命を消し去ることも


過度な苦痛を与えることも


無い


平和で幸せな時間が流れている


それに誰もが疑問すら持たない


それは当然なのである


だってこの世界はそれが


真理


なのだから





魔導士の力が弱まりし時


真理の象徴である魔玉(マギョク)が砕け


次の魔導士に相応しき候補者たちへと


欠片となりて与えられる


候補者たちは他の欠片を求め


魔導士の塔を目指す


己が魔導士となるために



それがこの世界で繰り返されたこと


世界は平和なのです


疑問に思ってはいけません


疑問を持つことは


真理を否定すること


万が一に満たぬことでも



疑問を持つ者が現れればそれは


世界の破滅を意味するだろう




世界の破滅への刻(トキ)が動くのだろうか?


それはまだ誰も知らないこと


誰かの絶望に満ちた叫び声から


この物語は紡がれる

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タイトルはまだ無い 呂聖 @ryojosei

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