第2話 契約 1

男は急に話しかけてきた。


「え?」

私ははじめ、この人はなにを言っているのかと思った。

だが、そんな疑問を問いかける前に、男は再び口を開いた。


「いい人であると言えるのであれば、君と契約がしたい。簡単な内容だ。」


ー・・・ 契約


そうか。公園で寝ている暇そうな私を見て、金でも貸し付けてやろうと思ったのか。

「借金の契約か。私は返さないぞ。なにせ、家もない状態だからな。」


「察しがいいようだね。だが借金ではない。返さなくてもお金が手に入るのだ。」


「いくらだ?」


「月に100万円といったところか」


・・・やはりからかっているのか。まともに返事した私が馬鹿だった。

私はその場から離れようと立ち上がった。

その瞬間、男は万札の束を取り出して、私の前に差し出した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

泡 (打ち切り) キアル @kiaru

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る