扶差と西施、忍び寄る闇夜の気配

「鄭」の字にニヤッとしました。
以上、余談おしまい。


まず文章の雰囲気。詩経の世界です。
いや詩経そんなきっちり読み込んでないですけど。
無理なく詩的。

そしてボキャブラリーの選択が、
これ、意図的ですよね。
やまと言葉がかなり廃されています。
完全に取り去っちゃうと
却って違和感が出ちゃうし、
ここの塩梅うまいなー、って思いました。

扶差と伍子胥と言えば、
その忠義が上手くマッチングしなかったために
悲しい結末を迎えた二人。
そこに西施と鄭旦が絡む。
まーもう、悲劇しか見えないわけです。

おいしいよね悲劇!
(自作もバッドエンド多めな人間の雑感です)

じっくり、出会う三人の背景を描いて、
いよいよ越の宮中へ。


「逆光の男」は范蠡なのかな。

歴史物語は、どのように生み出す物語に対して、
人物を配置できるかが勝負どころだと思っています。
そして、大いなるテーマ達成のために、
「史実」を動かす。調節する。

この時にその人物のアイコンが、
うまく補強できると更によし。
まあ激烈に難しいんですが。

撒かれた物語の種が、どう育つのかな。
続き、期待していいんでしょうか。