帰りなんいざ

晋室まさに蕪れなんとす(いいわけ)

……と、ついつい桓温くんの心情をおもんぱかってしまいたくなるくらいに端的で、雰囲気のある短編でした。桓温のこのいろんな弱腰ぶりは東晋貴族の限界、みたいなところも感じざるにはおれないのですが、息子が考えなしにフルスイングするクチなので、そのぶん色々マイナス補正を受けてもいるのだろうなあ、と思わずにおれません。

五胡十六国時代に起きた三国鼎立のまごうことなき立役者(他の二国は苻堅+王猛の前秦、東にて強盛を誇っていた鮮卑慕容部の前燕)であるにもかかわらず、どうにも色々なところで人間くささを感じさせる桓温の「らしさ」を味わえる佳篇でした。

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