腹はバケモノ

宇苅つい

腹はバケモノ

腹はバケモノ。

やうやう重くなりゆく体重、かなりヘコミて、

青くなりゆく顔の細くひくつきたる。

パンツのゴムの食い込みたるも哀し。



喰うは夜。

深夜であれば更なり。

闇もなほ、コンビニの看板、おほくうち光りて誘いたる。

また、ただ一つ二つなど、家に残った物を喰うもをかし。

手に取るもお菓子。



食欲は気まぐれ。

魔の差して、コンビニいと近うなりたるに、買いに行くとて、

冷凍食品、レトルト食品などのつらねたるを、

三つ四つ、二つ三つなど、取り急ぐさへあはれなり。

まいて、清涼飲料のいと大きく見ゆるは、いとヤバし。

困り果てて、腹の音、ヨダレなど垂れるは、はた迷惑に如かず。



節制はつとめて。

体重計に乗りたるは言ふべきにもあらず。

霜降り肉と言われても、またさらでも、心いと寒きに、

ジョギングなど急ぎ走りて、付け焼き刃を重ねたる。いと苦々し。

中年になりて、肉のゆるく成り行けば、

腹の肉も垂れて、醜いしわがちになりてわろし。

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腹はバケモノ 宇苅つい @tsui_ukari

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