来客
畑仕事をザッパたちに任せたサタンは、すぐに魔王城へ向かった。
件の「侵入者」は魔王の間で待っているらしい。
いや、待っているというか……。
「ペコンちゃん!?」
サタンが魔王の間に飛び込むと、まず手前の背の低い少女がこちらを振り返った。
少女の名はペコン。
ドワーフと呼ばれる魔族で、土の魔法を操る。
ルッカと同じ魔王四天王のひとりで、無口な少女だ。
種族的に背が低く、幼い見た目だがルッカと同じく数百年も生きているらしい。
「ん?」
彼女はサタンの姿を認めると、彼の慌てっぷりを見て小首を傾げた。
「どうしたの、魔王さま?」
「それっ! それやめて!」
サタンはすぐにそれを指差す。
それ――魔王の間の中央にデンッと置かれた大釜を。
より正確には、今にもその大釜で煮られそうになっている少年を。
「んー! んー!」
彼がおそらくルッカの言っていた侵入者だ。
彼女が「侵入者はすでに拷問にかけているところです」と言っていた時点で、嫌な予感はしていた。
(ルッカさん。まだこの大釜使うの諦めてなかったんだ……)
サタンはやや呆れつつ、ペコンに指示して少年を救出する。
「プハーッ!」
猿ぐつわをはずすと、少年は大きく息を吐いた。
しばらく煮立つ熱湯の上に吊るされていたためか、その額には大汗の粒がビッシリと浮かんでいた。
もう夏真っ盛りだというのに分厚い旅装に身を包んでいるせいか、服の下にもかなりの汗をかいているようである。
「ご、ごめんなさい。大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃねーよ! 突然の緊縛プレイとかどうなってんだ!?」
少年はサタンを怒鳴りつける。
怯えから解放された反動で感情が爆発しているようだ。
「キサマ! 口の利き方に気をつけろ!」
少年の態度にルッカが憤慨する。
客観的に見て、どう考えてもこちら側が悪い。
しかし、魔王至上主義のルッカにはそんなことは関係ないだろう。
「ペコンちゃん。ルッカさんのことしばらく押さえてて」
「うん」
サタンに頼まれ、ペコンは頷く。
彼女が呪文を呟くと、魔王城の床からたくさんの石のゴーレムが誕生した。
彼女の土魔法は鉱物をも操り、人造生命のゴーレムを作るのもお手の物だ。
「やって」
「あっ、おいペコン!」
同じ四天王の裏切りにルッカは怒鳴る。
彼女は水魔法を得意とするが、この場には水がない。
それに比べ、石や土は城内のどこにでもある。
そもそもこの城を作ったのはペコンの土魔法だ。
およそ城内で戦う限り、大浴場以外の場所でルッカがペコンに勝つことは不可能と言える。
そんな感じで落ち着いたところで、改めてサタンは少年に謝罪する。
「さっきは本当にごめんね。どこかケガしてない?」
「あ、ああ、おう。ケガはないよ」
少年はさっきと打って変わって、少しビクつきながら返事をした。
ペコンが一瞬で十体以上のゴーレムを生み出したのを見て、その凄まじい魔法に怯んだのかも知れない。
あるいは。
(あっ……もしかして、僕の顔見て怖がってるのかな?)
サタンは少年の表情を見て、その理由に思い当たる。
人の体など容易く噛み千切れそうな牙。
硬質な鱗と爬虫類の瞳。
少年と比べれば巨人のような体躯。
そんなモノが目の前にいれば誰でも恐怖を覚えるだろう。
むしろ泣き出しも逃げ出しもしないだけ、この少年は勇気がある。
ガクガクガクガク。
脚は震えているようだが。
「えーと、僕はサタン。きみの名前は?」
「オレ? オレはセイだ。セイ・コルフィン」
少年――セイは精いっぱい胸を張って言う。
どう見ても虚勢だが、意地を張るだけの根性は残っているようだ。
怖がられて話もできないよりはマシだと思いつつ、サタンは本題に入る。
「セイ君はどうしてこの村に来たんだい? それとも、道に迷ったのかな?」
「誰が道に迷うか! 子供扱いすんな!」
セイはムッとした顔で言い返してくる。
子供に見られるのがお気に召さないらしい。
「ごめんね。じゃあ、何しに来たの?」
「その前にひとつ確認」
セイはサタンの顔をジロジロ見ながら、言う。
「三ヶ月前にリンリアの自由市で大暴れした魔族の噂、それってアンタのこと?」
「―――」
少し前の苦い記憶を掘り起こされ、サタンはつい目を細める。
三ヶ月前、彼は人間たちの町リンリアで商いをしようとした。
だが結果から言えば、商いは失敗。
サタンは町の警吏や警備隊に追われる羽目となった。
(あの騒ぎのせいであの町には近づけなくなっちゃったんだよなぁ)
仕方なかったとはいえ、あれは手痛い失敗だった。
商売は文化の交流だ。
人と魔族がつながる第一歩として、リンリアでの商いは成功させたかった。
(あれからしばらくは村を整備するのに時間を費やしてきたけど、もうそろそろほとぼりも冷めたかな?)
「なあ、オレの話聞いてる?」
「あっ! うん、聞いてる聞いてる」
つい過去を振り返っていたサタンは、セイの声に慌てて返事をする。
「で、噂の主はアンタで間違いないの?」
「……うん。そうだよ」
サタンは頷く。
「ふーん……」
セイはジロジロとサタンの顔を見る。
「な、何?」
「うん、確かにそのツラは商売向きじゃないね!」
「はぐあっ!」
ハッキリ言われ、サタンはショックを受ける。
思わず声に出してしまったほどだ。
「まあまあ、そんなに落ち込むなって」
しくしくと涙を流すサタンにセイは明るい声をかける。
「そういえば、きみは何の用があってこの村に来たの?」
サタンはセイに尋ねる。
それが一番気になる点だ。
ただでさえ辺境の村に、なぜこんな年若い少年が?
セイはそこで、にまっ、と笑う。
「アンタ、はぐれ魔族だろ?」
「はぐれ魔族?」
一瞬何のことかと思ったが、サタンはその単語に聞き覚えがあった。
確か、ルッカが言っていたのだ。
何らかの事情で魔界にいられなくなり、人間界に流れる者を「はぐれ魔族」と呼ぶ、と。
「僕がはぐれ魔族だったとしたら、何なんだい?」
「町で物を売ろうとしたってことは、アンタ商売をする気なんだろ? そりゃそうだよな、魔族だって何だって食ってかなきゃならないんだもんな」
「……?」
いまいち相手の意図が分からず、サタンは首を傾げる。
すると、セイは。
「オレはこう見えても商人の端くれだ。アンタが市で売ろうとしたって品、どうかひとつ見せてくれよ。物によっちゃ、オレが卸しと販売を手伝ってやるぜ?」
「ホ、ホントに!?」
思わぬ提案にサタンは目を丸くする。
それは彼にとっても願ったり叶ったりの提案だ。
「け、けど何でそんなことをしてくれるんだい? 魔族が怖くないの?」
サタンはついついセイに尋ねる。
人が魔族を怖がっているのはサタンにも分かっている。
その上でどうにかしたいというのが彼の願いだ。
だが、なぜセイがこんな話を持ってきたのかが分からない。
セイは答える。
「まず最初の質問についてだけど、ライバルのいないところを新規開拓するのが商売の鉄則だからだ」
パクパクの実はマオー村でしか作られていない。
正確には人間界で作っているのはここだけだ。
それを最初に販売して大当たりすれば、充分な利益が見込めるとセイは語る。
「でも、僕たちがもう一回販売しちゃってるけど?」
「そこはほら、騒動が起きたせいで販売中止になっただろ? おかげで買った奴も少ないし、大半は食べる前に捨てちまったみたいだぜ。魔物の実だって噂になって」
「……」
「そう落ち込むなって。失敗は誰にだってあるさ。それに騒ぎが起きる前に食っちまったって奴に聞いた話じゃ、味は相当イイって言ってたぜ?」
「……! そうそう、間違いなく美味しいんだよ!」
褒められたのが嬉しくて、サタンはつい前のめりになって頷く。
「うっ!」
サタンが顔を近づけた時、一瞬セイの表情が引き攣った。
(おっとっと)
サタンは慌ててセイから顔を離す。
強がっているとはいえ、彼もサタンの姿形が怖いのだろう。
「コホンッ、ま、まあとにかく商人のオレにとっちゃ、アンタらにこういう話を持ちかけるのは当たり前ってことだ」
セイは咳払いをしつつ話を戻す。
「で、魔族が怖くないのかって質問だけど……これは信頼を得るために、先に話しておいた方がいいか」
「?」
「実はオレの爺ちゃんもはぐれ魔族なんだ」
「ええぇ!?」
サタンは驚きの声を上げる。
「それって、えっ、どういうこと?」
「だから、爺ちゃんもアンタと同じく魔界から逃げてきた魔族だったんだよ」
「でも、それじゃあきみは?」
「別に養子とかじゃないぜ? オレにも爺ちゃんの血は流れてる。まあ、四分の一だけど」
「ええぇ!? えっ、じゃあお爺さんは人間と結婚して?」
「うん、そう。その娘……つまりオレの母さんも普通の人と結婚してオレを産んだんだ」
サタンは別の衝撃を受けてまた驚く。
呆気に取られる彼に対してセイは。
「オレに商売の手解きをしてくれたのは爺ちゃんなんだ。だから、魔族ってだけで話ができないとは思わない」
「そうなんだ……」
「というわけで! はぐれ魔族のよしみってことでさ、ここはひとつオレと組んで大儲けしようぜ!」
「……!」
セイの笑顔に、サタンは言葉を詰まらせた。
感動して言葉にならなかったのだ。
(そっか。世の中にはもう種族の壁を越えた人たちがいるんだ)
それはセイの祖父と家族に限った極々狭い範囲でのことかもしれない。
だがほんのわずかでも希望が見えた気がして、サタンは嬉しくなった。
と、その時。
「でえぇぇぇい! 邪魔だぁ!」
「ルッカさん!?」
ゴーレムを吹き飛ばし、ルッカが立ち上がる。
得意の水魔法で水の竜を作ってブッ飛ばしたのだ。
魔王の間に水はないはずなのに、彼女の手許にはいつの間にか大量の水があった。
いや、水というか。
「熱っ!」
飛沫が手の甲にかかり、サタンはそれが熱湯だと知る。
(あっ、釜茹での!)
そういえばさっきまで、あの大釜の中では熱湯がグツグツと煮立っていたのだ。
ルッカはそれを魔法で操り、ゴーレムにぶつけたのだろう。
「ごめん。魔王さま」
ルッカを押さえきれなかったペコンが謝る。
「いや、大丈夫だよ」
「……魔王?」
横でやり取りを聞いていたセイが、そこでふと首をひねる。
(あれ? そういえば僕が魔王だって彼に言ったっけ?)
サタンがそれを思い出す間もなく。
「キサマァ! さっきから聞いていれば無礼千万も甚だしい!」
「へ、オレ?」
ルッカに指差され、セイが慌てる。
彼女の従える水竜を見て、只事ではないと察したのだろう。
「オ、オレが何したってんだよ? オレはただコイツと商談を」
「コ、コイツ〜? キサマッ! 魔王さまをはぐれ魔族扱いしただけでなくコイツ呼ばわりとは……許せん!」
「えっまさか本当に魔王!?」
ルッカのセリフに、今度はセイが驚いた。
「アンタ魔王だったのか!?」
「いや、うん、まあ」
サタンはコリコリと頬を掻きながら頷く。
「ヒエェ! た、食べないで!」
セイの顔が蒼くなる。
いくら祖父が魔族とはいえ、いや、だからこそ「魔王」の恐ろしさは伝え聞いているのかもしれない。
だが、今更彼が気づいたところで、もうルッカは止まらない。
「そこへなおれ人間! この四天王ルッカが直々に裁きを下してくれる!」
「うわっ! ちょちょちょっ待っ!?」
ルッカに気圧され、セイが逃げ出す。
「待てーッ!」
ルッカは熱湯でできた竜を操り、セイを追いかける。
ドコンッ!
ドゴンッ!
バコンッ!!
「ひえー!」
水魔法で次々と床に穴があき、その度にセイが悲鳴を上げる。
「まっ、待ってルッカさん!」
サタンは慌てて止めに入る。
彼はルッカを追いかけ、その体を背中から抱き締めた。
「魔王さま!?」
「止まってルッカさん。僕は気にしてないから」
「わわわ腕、腕が」
「?」
急にルッカが耳まで真っ赤になったので、サタンは首を傾げる。
そのあとで、自分が彼女の胸の上に両腕を回していることに気づいた。
「ごっごめんなさい!」
サタンはすぐに腕を離して謝る。
「あっ」
急に離されて、ルッカは声を漏らした。
その顔には、サタンの腕に対する名残惜しさが滲み出ていた。
そんな感情の揺れが、魔法に対する集中力を失わせたのか。
水竜はユラユラと床に落下し、強烈な衝撃波を周辺に撒き散らした。
「ギャー!」
その衝撃波に巻き込まれ、セイが吹っ飛ばされる。
「わあー!?」
悲鳴を上げてサタンはセイの許へカッ飛んでいく。
「ごめんなさいごめんなさい」
サタンは謝りながらセイの体を抱き起こす。
「……」
さっきの衝撃で脳が揺れたのか、セイは気を失っていた。
「大変だ!」
あわわわとサタンは慌てる。
「あーあ」
「わっ私は悪くないぞ!」
ペコンにジト目を送られ、ルッカがそっぽを向く。
「うわああああ」
サタンは慌てるばかりだ。
そこへ。
「あのー、サタンさんどうしたんですか?」
と、魔王の間に少女がひょっこりと顔を覗かせた。
彼女の名前はアリカ・ブラウン。
元勇者だが、そのことをサタンは知らない。
自分を勇者にした女神と決別し、今ではこの村の住人となっている。
ついでに言うと、この面子の中で唯一サタンの本性を知る常識人である。
まだ村人用の家が建っていないので、今でも魔王城に居候を続けていた。
「さっきから騒がしいですけど、また何か?」
「アリカさん! 大変なんだよ!」
サタンはセイを抱き上げてアリカの許へ連れて行く。
「彼、セイ君って言うんだけど、ルッカさんの魔法で気を失っちゃって」
「見せてください」
アリカはそう言ってセイの状態を確認する。
「……うん。ビックリして気を失ってるだけですね」
「そう? 大丈夫?」
「安静にしてれば目を覚ましますよ。ベッドで寝かせておくといいと思います」
「よかった」
「はい。あっ、でも着替えさせてからの方がよさそうですね。なんだか凄い汗かいてますし、風邪引いちゃうかも」
「そっか。そうだね」
ついさっきまで釜茹でにされかけていたのだ。
ただでさえ厚着だし、さっきので冷や汗もたっぷりかいたのだろう。
「じゃあ僕の部屋に連れて行くよ。タオルと着替えもあるし」
「魔王さま! またそのようなことを」
サタンのベッドに人間を寝かせると聞き、ルッカが諫めようとする。
「でも男の子だし、ルッカさんたちのベッドを使わせるわけにはいかないでしょ?」
「ならザッパどもの下僕部屋のベッドに寝かせればいいのです! 魔王さまと同じベッドに寝かせるなど……私もまだなのに……言語道断です!」
「?」
途中で妙に小声だったため、サタンには聞き取れなかった。
だけどまあ、いつものルッカの小言だと思い、
「大丈夫大丈夫。僕は気にしないから」
と、笑顔で流してそそくさと魔王の間から出ていった。
「あっ! 魔王さま!」
ルッカの声が後ろから聞こえたが、サタンは聞こえないフリをして自分の部屋へセイを運ぶ。
自分の部屋、というが、実はこの城にサタンの部屋はたくさんある。
寝室、執務室、午睡室、好きにしていい私室が五つ(ただしどれもザッパたちの部屋より広い)、あとは魔王の間も区分的にはサタンの部屋になっている。
正直部屋が多すぎて困っているので、プライベートなことは大概寝室で済ませるようにして、荷物なども全てそこにまとめてあった。
「よいしょっ」
サタンはやたらデカいベッドにセイを寝かせる。
「……」
セイはまだ目を覚まさない。
だが呼吸は安定している。
アリカの言った通り、単に気を失っているだけのようだ。
「おっと、体を拭かないと」
サタンはアリカに言われたことを思い出し、タオルを取ってくる。
「それにしても厚着だなぁ」
着込んでいるのは全部旅装のようで、服の内側にたくさんのポケットがあり、そこにいろんな道具が詰め込まれていた。
地図。
磁石。
小型ナイフ。
替えの布。
紐が十メートルほど。
空の麻袋。
お金。
干し肉などの保存食。
(分厚い旅装はカバンの代わりなのかな?)
セイは商人と言っていたが、普段はどんなところを旅しているのだろうか?
懐に入っていた地図はかなりの枚数だ。
もしかしたら大陸中を旅しているのかもしれない。
「……」
顔立ちは元々童顔だったが、旅装を脱がせてみるとさらに幼く見える。
人間だった頃のサタンと同年代かと思ったが、場合によっては年下かもしれない。
「まあ、その辺はあとで訊けばいっか」
この世界の――特に人間界のことはサタンもいろいろと知りたい。
アリカからも話は聞いているが、彼女はマオー村に来るまでずっと自分の村で生活していた。
セイからなら大陸のいろんなところの話を聞けそうだ。
なんてことを考えつつ、サタンはセイの肌着を脱がす。
彼の薄い胸が露わになった。
サタンとは比べるべくもないが、それにしても筋肉がない。
商人というのはどこか力仕事のイメージがあるが、そうでもないのだろうか?
まあ人それぞれなのかな、と思いつつ、サタンはタオルで汗を拭く。
小さな体なので、胸はすぐに拭き終わった。
さて次に拭くのは背中か、下か。
(さっきの水竜はセイくんの正面に落ちたんだったよね)
もし熱湯の飛沫で火傷をしているとしたら正面側だ。
なので背中側はあと回しにして、先に体の表側を全部確かめることにする。
「次は下かな」
同性でもさすがに失礼かもしれないが、下の肌着も汗でグッショリだ。
それにもしかしたら汗ではなく、水竜を構成していた熱湯を浴びて濡れているのかもしれない。
だとしたら肌着の下は火傷だらけで大惨事だ。
やはりちゃんと確認しておくべきだろう。
「えっと、これってトランクスかな?」
トランクスにしては裾の丈が長い気がするが。
まあそれが異世界風なのだろうと思い、サタンは納得する。
(こっちの男の子はこういうの穿くんだね)
魔界男子は一般的に長い布――日本で言うとフンドシに近い――で股間を隠すので、サタンの下着もそれだった。
と、今は下着はどうでもいい話だ。
早く脱がせて火傷の有無を確かめて、ついでに汗も拭いてしまわなければ。
「よっ!」
サタンはズルリとセイの下着を脱がせる。
と――
「……?」
「……!?」
大きく、大きく間を開けて、サタンは驚愕した。
最初それがどういうことか分からなかったのだ。
なぜなら、セイのそこには。
(ななななない!?)
あるべき物がなかったから。
「……ん?」
そこでセイが目を覚ます。
やはり気を失っていただけのようだ。
それ自体は喜ばしいことだが、タイミングが悪い。
「ん……? ッッッッ!?」
寝起きだったためか、セイも自分の現状を把握するのに一瞬間があった。
しかし、自分が全裸であると気づき――さらにすぐ傍でサタンが腰を抜かしているのに気づき、一気に顔を朱に染めて、
「キャアアアアア!」
と、実に女の子らしい悲鳴を上げた。
■■■本日の復興記録■■■
・商人セイの来訪
【無料立ち読み公開中】転生魔王の異世界スローライフ おいでよ魔王村!/なめこ印 MF文庫J編集部 @mfbunkoj
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