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「優子ちゃん。ほら、立って?」



「………」





彼女はとてもおとなしい。

おとなしくて、凛としていて、


それでいて、16歳。


なのに体つきは、ほぼ大人だ。



私より出来上がっている体。


Dくらいはある胸。




桜色の唇は、男を惑わせる。






さっき通りかかった男も、その1人だ。


大原朋おおはらとも。18歳。

彼はこの部屋では調子者でムードメーカーだが、


そんな反面、セックス依存症でもあった。



部屋は5人で暮らしていて、

女子は3人。


優子と私と、もう1人 三室あかねがいて、


大原は三室と隠れセフレになっている。

2人は自分らがセフレであることが他にばれていないとと思っているらしいが、


毎夜、彼らの喘ぎ声がトイレから聞こえてくるから

たぶん、私の他にも気づいてる人はいるだろう。




なのに、大原は優子にも体を売らせている。


大原は優子のいい体つきに目をつけ

あかねにバレないよう、優子を奴隷化させていた。



ことが終わると、優子の体には必ず痣とキスマークがついていた。


彼は、とんでもないクズだ。






優子と部屋に戻ると、あかねと、もう1人の男、高野好輝たかのこうきがいた。



「ねーぇ、咲?」


「なに?」




優子をベッドに座らせながら、あかねに返答する。


優子はすこし震えながら布団にくるまっていた。

大原の姿は見当たらない。




「沖縄のさぁ、基地あんじゃん


ほら、いっぱいデモが起きてるやつ」


「うん」



「あれってぇ、地元の人たちがデモやってるって思うじゃん?

でもあれ違うんだってぇ」



知っていたけれど、

初耳 だという反応を私はした。


あかねもあかねで厄介なひとなのだ。




「県外のひととかぁ、

もちろん東京からとかぁ、


たくさんの県から来てるらしいよ?


地元の人たち、メーワクしてんだってさ!


ほんと、なんか私馬鹿らしくなっちゃってぇ」




「なんであかねがそんなこと思うの?」



「だってぇ、

沖縄の人たちかわいそうだなーぁ とか思ってたりしたしぃ」



優子が寝返りを打った。


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どうか幸せでいて 桐野雅 @kirimasa221

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