第5話 さらば ジャポンイス

 グレゴリオ暦一五八二年六月二十一日の深夜に本能寺で起こった事件の詳細に私はまったく関心は無い。またあの信長の後継者が誰になろうが、今の私にとってどうでも良いことである。この手記を最後に、私は人生の貴重な十二年間を無駄にした日本という国の記憶を消し去るつもりである。

 ただ、もう一度書く。誰が何と言おうと、かつて私がイエズス会東インド管区本部に提出した『日本人はキリスト教の布教に適さない』という報告書は正しかった。

見ているがいい。私は予言する。

四百年たとうが五百年たとうが日本人は日本人だ。きっとこの国に真の意味でキリスト教が根付くことは永遠にないだろう、と。

          1582 june Societas Iesu Francisco Cabral

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三人のジャポンイス 橋本純一 @happygangan

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