少女のやりたいこと

翌日、マリアはいつも通り病室のベットで目覚めた。昨夜の出来事はもしかしたら夢なのかも知れないと思うほどいつもと変わらず穏やかな病室だ。 もしかしたら昨日のことは夢なのかもしれないと思った。マリアは恐る恐る肩を見てみた。そこには数字が記されていた。マリアは実感した昨夜の出来事は現実で、自分はあと1ヶ月でこの世を去ることを。

ふとキールの言葉を思い出した。

はやっておいた方がいい」 マリアは考えた残りの時間で何がしたいか―


マリアはそれからというもの病院にいる自分より幼い子供たちの面倒を見たり、前にお世話になったお年寄りのお手伝いなどしていた。

何故ならマリアのは今までにお世話になったよ人へのおんがえしだったからだ。



キールは死の宣告を受けてからのマリアの生活を一週間見ていた。マリアは残りの時間をほとんど他人のために使かっていた。そんなマリアにキールは心を動かされたのかも知れない。キールはいつしか彼女の為に時間を使って欲しいと思うようになった。 例え少しの時間でも…



マリアはいつも通り病室にいると、どこからともなくキールが現れた。キールと最後にあったのはたった一週間前なのに随分前に感じた。

「お久しぶりです。キールさん。」マリアは微笑んだ。

「俺はずっとお前を監視していたから久しぶりと言うわけではないのだがな。」キールは苦笑した。告死者こくししゃとは死を告げた人間の監視も担っているのかとマリアは思った。

「この一週間お前を見ていたが、人の為に時間を使ってばかりだ。せっかくなのだからもう少し自分の為に使ったらどうだ。」

マリアは少し驚いた。

「私は人の為に時間を使っているつもりはありませんよ。これは全部自分がやりたいことで、自分自身の為にやっているのですよ。」マリアは言った。

「お前はみたいなこと言うな…。」キールは呟いた。

「どうかしましたか?」マリアにはキールがなんて言ったか聞き取れなかった。

「いや。なんでもない。 それより何か他にやりたいことはないのか?」

「キールさんはやりたいことをサポートしてくれるんですよね?」

「ああ。」

「それじゃあ…私水族館に行きたいんです。」マリアは恥ずかしそうに言った。

「あ…でも外出許可が降りません… 両親は共働きなので予定が合いませんし。やっぱり無理ですよね。」

諦めようにマリアは言う。

「それなら心配するな!」

キールはやっと自分の出番か!と言う顔して「そう言うことなら俺に任せておけ!」と自信満々で言った。



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告死者 紫織 @pear

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