初期の問題作
- ★★★ Excellent!!!
「小説」として認められないのは常識的な感性だろう。
自分なりに解釈して笑い、肯定した自分もこの作品を「小説」であると思わないし、「小説」として認めることはない。
しかしこのセンスが受け入れられることこそ、Webコンテンツの醍醐味ではないだろうか。
「書籍」を基準とした従来通りの「小説」が読みたければ他の作品を読んでいればいいだけの話である。
巨大掲示板、大手動画サイト、絵描きサイトなど、そうした「場所」の黎明期ではどこでだって(舐めきった)批判精神、(無くてもいい)チャレンジ精神を見せてくれた。
ふざけたセンスを排他、あるいは低俗として認めない、存在自体が害となる──そのような不寛容に徹した態度を取らなかったからこそ、混沌としながらも発展し、今でも生き残っているといえる。
ページのフォーマットを逆手に取って表現した『オレオ』というこの作品を、運営と利用者はどう捉えるのか? この是非を問う事を否応にも突き付けてくる。それも本文はたったの三文字で。
「これこれこういうものです」「問題提起です」「考えてみましょう」などといった補足や押し付けを必要としない、触れた者が自発的に(半ば強制的に)思索してしまう、見事にスペキュラティヴな創作活動であろう。
コンテンツの黎明期にのみ誕生しえるこの「妙」に対して、安易な否定や肯定など誰ができるだろうか。
各々が考えに考えて、それでも決着をつけずにいることこそ、創作の場として発展していく自由と余地が存在する。
三文字から何を見い出せるかは人によって違うだろうし、明確な答えなどないだろう。
けれど問いは投げられっぱなしになるものではない。読者には「落ち所」を自分で決めることのできる自由がある。