オレオ

天才とはいわない。
秀才ともいわない。
これはまさしく鬼才の成せる業だ。
「オレオ」この三文字をSFというジャンルの括りに筆者は捻じ込んだ。

この意味は僕にもわからないし、きっと君にもわからない。

ル・クレジオの『物質的恍惚』(岩波文庫)の訳者のことばという章では、「主体は還元しがたく二重であること、言語は自己同一的な‹私›への信仰を許さないものであること、そして意識(眼差)が、主体を不可避的にみずからの外にほうり出すとともに、みずからに送り返すものであるものであること」を「根源的な主題」としているが、この事柄への反逆行為であり、おおよそインターネット小説のひとつの在り方を提示していることに他ならないだろう。
この小説は現代的、そして未来的な思想を最も真摯に取り扱うSFというジャンルだからこそ可能としたものだ。

と私は理解した。

これはあるテーマに対する答えではなく、筆者の提示なのだろう。