ラムポークチキンビーフ 〜この世はお肉でできている〜

第7話

「で？君が新しいメンバー？」

「イエス！私こそがこの班の救世主！佐倉三久！」

　シューちゃんに連れていかれ、メンバーが集まってる場所に連れてこられた私は、フッとドヤ顔をしながら尋ねてくる同じメンバーらしき人に挨拶した。

　見た感じ物静かそうなその男性は、結構振り回せそ…ゴホンゴホン。結構仲良くやれそうな気がする！

「というわけで！私が新しいここの班長となり…」

「あまり調子に乗るな」

「ゲフンっ！」

　上から飛んできた怒りの拳骨が佐倉三久を襲う！効果は抜群だ！

　いやー、本当に痛いよ。何度受けてもなれっこないこの痛み…。

　「こんな拳骨を躊躇いなく撃てるなんて、シューちゃんは人間じゃないね！」

「そうか。もっと殴られたいか、そうなんだな？」

「すみません！冗談デス！あはは〜ジョークジョーク〜あぅっ！？」

　2度目の拳骨を頭でうけ、私はくらくらする脳みそをなんとか再起動させながらその場で意識を取り戻した。あまりね、頭を下げ叩かれるとバカになるって誰かが言ってた気がするよ。脳細胞が死んじゃうとかなんとか…、まあ私の場合既に全部瀕死状態なんだけど！

「いやー、なんや。うるさそーなやつがきてもうたなぁ」

　1人、関西出身ですか？とツッコミたくなる人物がそう言うと、私の方をじーっと見つめてきた。こちらは女性ですね。私の中で勝手にライバルの位置につけられました。

　何やら試されている気がする…。何を試されてるかはわからないけど…、そう、何かを…私の中の何かを試されている…！！

「こ、こいぃぃ！！わ、私とや、殺りあってもいいことなんてっ！な、ななななないんだからぁ！！」

「いや別にそんなつもりないわ」

　塩対応ッ…！！！

　どうやらなかなか強者を揃えてるみたいですな…。

　いつかは私も本気を出さねばならぬ時がきそうだよ…、いつかとは言ったけどいつとは言わないからね？いや、別に本気見せるのが怖いとかそんなんじゃないし。びびってなんかないし。

「まあ、こんな阿保な子だが、仲良くしてやってくれ」

　シューちゃん、さりげなくディスられるといくら私でもくるものがあるよ…。

　…たぶん！

　最後にメンバーから「「は〜い」」という力ない返事が返ってきたところで、わたしの自己紹介は終わった。

　これで私も晴れてチキン南蛮隊のメンバーへと昇格である。

　まあ、私としては昇格しようがなんだろうがお肉が食べられればそれでいいんだけども！

「というわけでシューちゃん、ここにお肉を！」

「隊長をこき使おうなど100万年早い。貴方を今ここでお肉にしてやろうか？」

「ストォォォップ！！自分で自分のお肉を食べさせられるほど辛いことはないよ！？その出してる剣早くおさめて！？」

　私は必死にシューちゃんの券を納刀させると、ホッと胸をなでおろした。

　最近シューちゃんがどんどん容赦なくなってきてるからね…。私も気をつけないと…何度も死ぬのはごめんだよっ！！

　因みにこれで私は今日やるべきことを全て終えたわけで…特にすることがありません。

　うん、要するに暇ってこと。と言ってもねぇ私に暇っていう文字は似合わないって私でも思うんだよね。

「というわけで王様のところへ癒されにぃ〜」

「させないからな？貴方には今からさっそく実戦しに行ってもらう」

　不意に掴まれたその手に私は嫌な予感を感じた。感じた時には既に遅かったっぽいけど。

　なんでさ、シューちゃんって私の行動をこうも妨げるんだろうね。私もうシューちゃんなんてきらいっ！

「と思いつつも、反抗できない私、実に無力…」

私はシューちゃんに引きずられながらそう思った。