第6話
「うわぁぁっ!?王様ぁ!?すっ、すみませんでしたぁぁぁ」
キラキラ輝く容姿を崇めながら私は深々と頭をさげる。後ろからシューちゃんが迫ってきていますが、この容姿を眺めるか逃げるか…どちらかを選べって言われるとやっぱりこのお姿をずっと見つめる方がいいに決まってますよ。
何より脚が言うことをきかぬ…脚が動かんのだ…!!見惚れすぎて!!
「…捕まえたぞ。三久」
「うひゃあ!?…おっ、オッスオラ三久!シューちゃんがツンデレだってことはまだ誰にも言ってないよ!!」
後ろから首根っこを掴まれた私は、その掴んだ人物。シューちゃんに向かってそう言うと、王様の方へなんとか振り返った。
「…ん。あ、シューちゃんごめん!今の王様に聞こえてたっ!!」
「ほう…、シュバルムはツンデレ?という者なのか。それはどういう称号なのだ?」
私は一瞬でわかってしまった。この王様の返事を聞いて…、王様がツンデレという何かを知らないということを…。
ウヒヒヒ…そんなのわかってしまったら嘘を吹き込まないわけにはいかないよね…
私は誰が見ても気持ち悪いと思うような笑みを浮かべると、その表情のまま王様に近づこうとした。うん、近づこうとしただけだよ、ちゃんと立ち止まったよ。この顔のままでいくとどう考えても頭おかしい人にしか見えないからね。…危なかった。
私はいつものニコニコスマイルをつくると、王様の方へ近づいた。
「王様ぁ〜♪あのですねっ♪ツンデレというものはですね…」
「ん?どうした?」
「ツっ、ツンデレというものはですね!?」
「あ、あぁ…」
「ツンデレというものなんですよ!!」
「さっぱりわからないのだが!?」
だめだ…、王様にの顔を見てしまうとわたしの悪の心が全て浄化されてしまう…。流石王様…強い…。
私が四つん這いになってなぜか苦しんでる様子を見て、シューちゃんは何がしたいんだとでもいうような目つきで私の方を見ていた。
「とりあえず、私はそのツンデレというものではないので…あとこの肉っ娘はちょっといろいろ用事があるので連れて行きますね」
「ん?あ、あぁそうなのか?な、なんだか大変そうだな…」
「王様…変わります?この肉っ娘のお世話係。この肉っ娘もその方が喜ぶと思いますけど?」
シューちゃんが笑いながらそう王様に対して言ったが、目は笑っていなかった…。そして、そんなシューちゃんを見た王様はシューちゃんのイライラが最大限まで溜まっていることに気づき、苦笑いをしながらその場から立ち去ってしまった。
「あぁ…、私の王様が…、待って。置いていかないで…」
「はぁ…、いい加減にしろこの肉!!」
いまだに王様を求めようとする私に拳骨が落ち、私は地面にベタンと…叩かれた蝿のように倒れると、腕を組んで私を見下ろしているシューちゃんの方へ目線を向けた。
「私はお肉が好きなだけであって肉ではないよっ!!」
「あー、そうだな…。もうわかったよ、私が折れるから…、もう少し大人しくしてくれ…」
シューちゃんはため息を吐きながら私を抱きかかえると、ゆっくりとその場に立たせた。そんな様子を見て、まるでシューちゃんが無邪気な小学生に手を焼く姉のように見えてしまったけど…。私は小学生じゃないから。立派な高校生だから。
「では、今から貴方もこのチキン王国の新戦力として…新メンバーとして迎え入れる。先に言っておくが…、大人しく!ついてくるんだぞ?」
「はいはーい。あ、せんせーい、今からどこに行くんですかー?」
「他のメンバーが集まっているところだ。この国の兵士たちのいるところだな」
シューちゃんは後ろでチョコチョコと歩いている私にそう言うと、城の外へ出て、そのまま城下町の外の方へと歩いて行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます