第4話
それからもお母さんの木は大きくなり続け、
その重みでお母さんの体はすっかり土に埋もれてしまいました。
ポポは泣きながら土を掘り返しました。
「ポポ、お前はほんとうに立派なわかものになったね」
「お母さん、お母さん」
「もうひとりでも大丈夫だね、お母さんはずっとお前を見ているからね」
頭の木はミシミシと音を立てて震えました。
以前より、ずっと高く、高くそびえています。
ポポは町を出ました。振り向くと、あの大きな木が見えます。
どこまでも、ポポは旅に出ました。
それでも、遠くの空に大きな木が揺れているのが見えます。
ポポはひとりでしたが、不思議なことに寂しくは思いませんでした。
どこに行っても、お母さんが見守ってくれている気がします。
空を見上げると、その一面にお母さんの木が広がっている気がするのです。
ポポはずんずん進んでいきました。山を越えて、谷を抜けて、
川を下り、海に出ました。ポポが海を見たのはこれが初めてでした。
海を渡ると、とうとう木は見えなくなりましたが、
どこにいても、ポポが故郷を見失うことはありませんでした。
ポポのおかあさん 阿瀬みち @azemichi
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