第3話

雨のあとの空に、虹がかかっていました。

「お母さん、芽は木の芽だったね」

「そうかい、おや、ずいぶんお前も大きくなって」


木の芽は雨を受けて、いっそう高く伸びました。

もう、頭に水瓶を置くことができません。


代わりにポポが毎朝水を運びました。

「なんだか頭が重くなってきたねぇ」

「お母さん、木がずいぶん大きくなったよ」


木はゆっくりと育ちました。時間をかけて太くなっていきます。

お母さんはもう、前のように動き回れまくなっていました。

あんまり頭が重たいので、動くとすぐに息が切れてしまうのです。

家の軒下で座り込んで、あたりをじっと見ていることが多くなってきました。


大きく育った木は、たくさんの花を咲かせました。

「お母さん、木に花が咲いたよ、ほんとにたくさん」

「そうかい、ポポ。お前はまたたくましくなったみたいだね」


花は落ち、やがて実がなりました。鳥や小さな獣たち、

そして子供たちが、木の実を食べに集まりました。

お母さんは、もうほとんど動くことができません。


「お母さん、とうとう実がなったよ」

「そうかい、ポポ。お前もたんとお食べ」

実は甘く、水分をたくさん含んでいました。

その代わり、お母さんの顔色は幾分悪くなっていくようでした。

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