ポポのおかあさん

阿瀬みち

第1話

ポポとお母さんが町を歩いています。

どこからかたくさんの綿毛が飛んできました。

そのうちのひとつが、お母さんの高く結い上げた黒い髪に落ちました。


「お母さん、髪に綿毛がついているよ」

「そうかい、ポポ。水をたくさん汲んで来なくちゃね」


よく晴れた日でした。

お母さんは水瓶にたくさん水を汲んで、頭の上に乗せました。


お母さんが歩くと、瓶の中の水も揺れます。

水は こぼれて、種にもかかりました。


「種から芽が出たらどうする?」

ポポがいうと、お母さんは笑いました。

「私の頭が森になってしまうね」

ポポも笑いました。


その日はほんとうに、よく晴れたいい日でした。

お日様はぐんぐん照りつけます。

いつの間にか種から芽が出て、緑の芽はぐんぐん伸びました。


「お母さん、頭から葉っぱがはみ出ているよ」

「そうかいポポ。今日のゴハンはなににしようかねぇ」

お母さんは水瓶を置きました。緑の草はより一層強く髪に巻きつきました。


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