中京――名古屋を舞台にして語られる一夜の恋物語。
あと一歩踏み込まないことで関係を維持する大人の付き合い。
曖昧で甘い男女の関係が女性の一人称で描かれ、はっきりとしない男性の優柔不断さに――まぁ、こんな関係ってよくあるよなと思わされてしまう。
しかし、この物語を読んだ読者には、ぜひ作者の近況ページに書かれた「種あかし編」を見てもらいたい。
おそらく、この物語を読んで抱いていたであろう感想や予想とはまた別の――新しい視点を得ることができると思う。
もやもやしたければ、ぜひ一読することをおすすめする。
短い話しの中に、深みや奥行きのある物語を描いて見せた作者の思惑にハマってみるのも一興ではないだろうか?