思春期にありがちなトラブル、友人との距離感、変貌によって見えてくる価値観。読みやすい短編への評価としてはかなり過大だと思いますが、根底には名作『山月記』の面影がチラホラ見えました。共感や教訓といった大層なことは言いませんが、是非10代の人間に一度は読んで欲しい作品(20歳以上でもオッケー)。
『視点を変えてみれば“人”は“人間”に変わる』なぜそうなるに至ったかを考えた時、自分のエゴに振り回されていないか?“あの人が悪い”“あんなことするからいけないんだ”と自分の中の正義に照らし合わせて人は思い考え行動する。“争い”とは自分と相手の正義がぶつかり合い、起こる。“自分の中の正義”は言い換えれば“エゴ”になる。視点を変えて見ればー相手の気持ちになってみれば、そこから見える景色が変わる。そして自分の世界が変わる。そうした時、人はきっと優しくなれるのだと思う。この物語はそんな大切な気持ちを教えてくれます。
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