第3話 王国

 王国へ着くと何やら大盛り上がりでお祭りのようだった。


「すみません、今日って何かお祭りがあるんですか?」


 僕は近くにいた女性に話しかけた。


「あら、あんた新しくこの国に来た人?」


「はい、ついさっきこの国に来ました」


「なら知らなくて当然ね、ただし聞いたら驚くよ‼︎」


 どんな内容だろう?


 驚く内容……?


「なんと‼︎あのドラゴンが何者かによって倒されたんだよ」


 ……え⁉︎


 …………………………


「そ、そうなんですか」


「ああ、誰なのか分からないが英雄のようだねぇ」


 英雄……嫌だ。


 僕は、普通に異世界生活をしたい……ばれないようにしなくては。


「そ、そうですね」


「誰が倒したかわからない、つまりこの祭りの主役がいないんだよ」


「へ、へ〜」


「さらに、そのドラゴンの死体が見当たらないんだよ」


 そりゃあ……売りましたから。


 けど、もしかしたら僕が倒したやつではないドラゴンかもしれない。


「なんで倒されたってわかるんですか?もしかしたらどっかに移動したとか……」


「あぁ、そういえばこの国に来たばっかりって言ってたわね、この国の王はモンスターの力や生命反応がわかるのよ」


 まじで⁉︎


 ……やっぱりそのドラゴン僕が倒したのでした………


「それはすごいですね」


「すごいわよ、まぁだからこの国も平和なんだけどね」


 平和?どういうことだろう。


「そうなんですか?」


「えぇ、モンスターの力に合わせて対応できるからね」


 あぁ、なるほど、そういうことか。


「まぁ、モンスターの力がわかれば合わせれますよね、でも誰が倒すんですか?」


「ギルドの冒険者たちだよ、そのギルドでランク付けされた冒険者がランクに合ったモンスターを倒す」


 そんな人たちもいるのか……ちょっと憧れるな。


「あ、そろそろ行かないと、祭りでわさわさしてるけどこの国を楽しんでいってね」


「はい‼︎ありがとうございます」


 親切な人だったな……若干話し方があつかったけど。


 さて、これからどうしようか?


「そこの兄ちゃん、話は聞かせてもらったぜ」


 ん、誰だろう?


「えっと……誰ですか?」


「初めまして、俺はルベル、この国のギルドの役員だ、さっきの話を聞いたところ、兄ちゃんこの国にきたばっかりだってな」


 なるほど、盗み聞きですか……


 というか、ギルドの役員?


「ええ、まぁ」


「ならギルドに登録しないか?あ、もうすでに違う国でしてた?」


 おっと、これは……


「いえ、まだですけど……」


「じゃあ決定だな」


 え、決定早くない⁉︎


「え?ちょ……まって」


 僕は引きずられた……



「一人勧誘してきたぜ」


「ルベルさん、またですか?」


 ルベルさんが何やら女性と話してる……この人もギルドの役員なのだろうか?


 というか、またって…………


「おう、こいつは俺のギルド役員としての勘がビビッときたんでな」


 ……嘘だな。


「……それ、何回も聞きましたけど、その勘当たったことありましたっけ?」


 …………


「今回は大丈夫だって……多分」


 えっ⁉︎この人多分って言ったよ⁉︎


「えっと……はじめまして、カーナといいます、すみません……うちの役員が」


 あ、女性の方が話しかけてきた。


 カーナさんか。


「アキヒトです、いえ僕もギルドに入ろうと思ってましたから」


 まぁ……嘘ではないし……


「そうですか、それは良かったです」


「じゃあカーナ、あとよろしくな、俺はまた金の卵を探してくるから」


 ……無責任でもあるのか。


「えっと……」


「すみません……本当に………では登録しますか」


「あっ……はい」


「とりあえず、名前と年齢、あと使用する武器ですかね」


 武器……サイコロ……


「どうして武器もなんですか?」


「モンスターによっては効かない武器もありますから、それと武器などはギルドが提供したりもしますから」


 あー……なるほど。


「わかりました、名前はアキヒトで、歳は18、武器は……サイコロです」


 なんか恥ずかしい。


「え⁉︎18?あ……すみません、16ぐらいだと……」


 まずそっちですか⁉︎


 まぁ、日本人は童顔っていうもんね……


「あはは…………」


「武器は……サイコロ?」


 やっぱり、気になるよね……


「あ、そこは気にしないでください」


「わかりました」


 え、まじで⁉︎


 なんか……


「意外と驚かないんですね」


「まぁ、たまにいますから……パチンコとか」


 上には上がある……か。


 サイコロもあれだけど……パチンコって……


「はい、登録が終わりました、このカードは無くさないでくださいね、また作れますがその時はお金がかかるので」


 登録は無料なのか。それはありがたい。


「はい、ありがとうございます‼︎」


「とりあえず、今日はお祭りですのでクエストは明日からとなります」


 明日からか……よし頑張ろう‼︎


「わかりました、では」


 こうして僕は、ギルドの冒険者になった。


 ……サイコロで、役に立つのかなぁ。

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サイコロで生き抜く異世界転移〜奇数で幸福を‼︎〜 シマの紙 @shimanokami

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