勇者嫌いの勇者ユアン

農家の青年ユアンが住む小さな村に、勇者が現れる。
ユアンは勇者の事が嫌いだった。間接的とはいえ勇者が原因で父親を失ったから。
そして勇者が来た日の翌日は一年に一度だけ行われる村の大会の日で、ユアンはトーナメントを勝ち進む。そして優勝したユアンの前に予想もしていなかった事実が、なんと勇者が特別試合の相手として名乗りを上げたのだ。

棄権もできたが勇者と戦うことを受け入れたユアン。しかし勇者は、ユアンには到底受け入れることの出来ないことを、この特別試合の勝利報酬として要求してくる。
なんと勇者は自分の地位を利用して妹のサラを差し出せと言ってきたのだ。
　
「俺は――お前たちを許さない……！」

普通なら意識を失うほどの一撃を受けてなお、ユアンは剣を手に立ち上がる。