同棲&学園ラブコメディというと、個人的な偏見かもしれませんが、行き過ぎた性表現のものが多数派を占め、学園ラブコメではなくないか? と、疑問に感じることが多々あります。自分がひねくれてものを見過ぎなんですかね?
そういう意味ではこの作品は真っ当に学園ラブコメとして完成しており、とても好印象でした。
なんと言い表すべきなんでしょうね? カップルのおうちデートの一部始終を覗き見しているような? しかも最初から割とそんな感じです。
基本は一話完結か、またがっても数話であり、物語としてとてもテンポよく読むことができました。
才色兼備で、文武両道なヒロインは些細なミスで主人公と同棲することになった家ではその仮面が剥がれて、主人公のことを何かとからかってはコロコロと表情豊かに彼の反応を楽しみます。
それに主人公も表面上では面倒臭そうにしつつも、だんだんとそれが当たり前になっていき、実際いくつかの事件の折に、彼は家で一人になるタイミングに物悲しさや苛立ちなどの喪失感を露わにしています。
作者様の感情描写や風景描写が秀逸で、脳裏に明るくもその分だけ影のある彼らの青春を鮮明に映し、主人公の悩みや迷いを明るい表情でヒロインがかき乱し、振り回し、最後にまるでなんでもないことのように吹き飛ばす姿はとても痛快です。
しかし、彼女にも悩みがないわけではなく、そんな時に普段ヒロインへの気持ちをあまり見せない主人公が紡ぐ言葉に学園ラブコメモノの良さを感じさせられます。
淡白ではありますが、後半につれて深くなっていく彼らの関係に愛おしさを感じずにはいられませんでした。
最後に筆下手な自分の文章をここまで読んでくださった方に感謝を、ありがとうございます。
ミスから始まった2人の同棲生活。明るい彼女と何処か達観した感性を持つ彼。そんな2人の同棲生活は・・・・・・・・・・普通に修羅場から始まった。
勿論、彼も彼女も強い信念があった訳では無いので喧嘩にはなりません。けれど、彼女の少し変な価値観から彼の生活は大きく変化していき――やがて。
彼の前以外では何かしらの猫を被る彼女は、彼のことが大好き!ちょっとエッチで抜けてるところもあるけど、可愛らしい彼女の奮闘が描かれていて、読者を骨抜きにしてくれました。
問題は彼。切実で真面目で達観した彼は、やっぱり因縁が多い。修羅場事態が勃発して、彼女との仲も危うくなるけれど、やっぱり彼と彼女は互いを想っている。
シリアスな展開も、山場な展開も、修羅場も有る。でも!!
――それを乗り越えていく2人の姿と、その中で変化していく周囲。何よりも彼の心の変化に触れる度に、私は惹かれていきました。
結局最後は、2人の幸せな姿を描いているんです。それはきっと、純恋愛小説に比べると小さなイチャラブかもしれないけど・・・・・・・。
――それでも2人が幸せそうに映るのは、作者が素晴らしい描写能力を持っているからでしょう。
この作品は、主人公である弓月恭嗣(ゆみづき・ゆきつぐ)が、不動産屋さんの手違いにより、美少女の佐伯貴理華(さえき・きりか)さんと白い2階建てのマンションの一室を共有するルームメイトになり、学園都市にある私立・水の森高校で学園生活を送るストーリーです。
1話1話が短く、ストーリーも淡白で、深い話は殆ど無く、登場人物同士の雑談を中心としてサラッっと読める仕上がりになっております。
カクヨムのラブコメ部門で第1位を取った作品だけあり、実に爽やかな妙味を味わう事が出来るのでは無いでしょうか。
この作品の内容を味覚に例えるなら、これはこれで食後のデザート的な、或いは間食として食べるおやつの様な、日頃読む様な作品では足り無い部分を補充してくれる意義があります。
最近、従来のライトノベル読者であった中高生が大人になり、そうした層のニーズとして勃興して来た「ライト文芸」と言うジャンルの一端を担っていると言って良いかも知れませんね。
或る意味、これが本当のライトノベルと言えるのかもと思います。
コミカライズもされており、最新話が無料で読めますので、是非、ご覧になって見ては如何でしょう。
https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_EB02000071010000_68/