地に足付いた、見事な真空中戦描写

レビューを読むような方は相応のネタバレも覚悟しているはず、という前置きをして
22G.クローズド プロローグ までを拝読してのレビューです








読み終えて、まずしたことは「連載中」との表記を確認することでした。
確かに連載中だと分かってほっとひと安心。
というのは、続きが読みたい! という抑えがたい欲求から。
現時点で各所に散りばめられた布石には未だ潜むもの多く、闘いは激しさを増していく予感を覚えますが、あまりにスリリングで鮮やかな展開と描写に「はい、ここで完結!」と言われても思わず納得してしまいそうな熱量を感じたため、失礼にも連載中か確かめてしまった次第なのです。

回りくどい言い方でしたが、要するにそれほど興奮しました。
ジャンルとしては作品紹介とタグ付けの通りで、ミリタリーSFとスペースオペラ(蔑称的意味合いではない)のふたつをしっかりと本道に据えつつ異世界ものや百合要素を散りばめている、と言えば伝わる……でしょうか。
この作品のおおきな魅力のひとつである戦闘描写、これが最序盤から盛り込まれているので、さわりを読めばすぐに相性を把握することが出来るでしょう。

ただし、この作品の魅力は戦闘描写だけではない、という点は伝えておきたいと思います。
それは心情描写の共感性です。
しばしばSFは読む人の心を空虚にしがちで、その要因というのは主人公と読み手との心情のかい離に起因するのですが、一方でこの作品では上手に心情描写を重ねており、地に足が付いた気持ちで読み進めることができます。(じゃあ具体的にどんな描写が共感を呼び起こしたのか、と言って詳細まで説明してしまっては興ざめなので一言でまとめると、衣食住は大事ですよね! とだけ)

百合要素についてはあくまで清涼剤やアクセントとして、名前の通り花を添える役割を担っているように感じます。SF百合好きの方にもお勧めできる作品ですが、恋愛主軸のSF百合を求める方には肌が合わないかもしれません。

長々と書いてしまいましたが、面白い作品をお書きになっている作者への僅かばかりのお礼として置きたいと思います。
これからも楽しみにしています。唯理の生活環境は果たして改善するのか、わくわくです。

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