滲み出る作者の積み重ね。

この小説の特徴を二つ上げるなら、
一つは古典的な、ともすれば堅過ぎると言われかねない文体と
もうひとつは作品世界に対する作者の拘りだろう。

古い海外の翻訳小説のような会話劇と、作者の描こうとする荒廃した世界は、今時のポップでライトなノベルとは距離を置く。

これをただ不器用ととるか、書きたい物語に誠実と取るかは読者の自由だろうが、私は後者と取りたい。
作者の内で、作品にとって一番いい形がこの形だったのだろう。

作品はまだ序章、主人公と少女が出会い、物語は動きだしたばかり。
これから『荒廃のマギカ』を彩るであろう世界中の魔術とその深淵の知識に期待する。