主人公の少女シェルティアの成長を軸に、敵であるネメシスとの熾烈な戦いの中で紡がれてゆく仲間との絆を描いたストーリー。
人間的に好感の持てる人物が多く、初っ端から主人公と衝突した元令嬢にして剣の名手メリッサとも、本音の友情を交わせる仲へと発展してゆく。それぞれに背負う思いがあり、共感できる心情や弱味がある。
人物はもちろん、物語の背景となる場面情景や社会情勢の描写も丁寧でしっかりとした読み応えがあります。展開のテンポもよく物語に没入しやすい。癖のない分かりやすい文体でスムーズに読み進めていくことができます。
人面獣体の異形ネメシスと対決する場面はホラー映画を思わせる緊張感とおどろおどろしさがあり、戦闘の緊迫感もあいまってスリルを感じられます。
物語最終章で、帝国の支配が生み出してしまった憎悪が最悪の形で露呈します。主人公たちはまだ続いていくであろう戦いの途上にありますが、このまま帝国の支配が続くのか?そもそもネメシスとは何か?
ここまで来たら是非帝国の今後やネメシスの全容も明らかになっていってほしいです。続編も期待できるということで、今後の展望を待つ意味でいったん★2で評価させて頂きます。
5話まで序盤以降は帝国領とアイギス本所に舞台が絞られていたので、以降はネメシス出現がより頻出する周辺諸国の掘り下げなど、物語がより広域に拡がっていくことを期待しています。大事な場面で何かとアイギスの力になってくれる第4皇女の存在も気になるところです。いつか続きを投稿されるのを待ってます!
貧しい農村に暮らしていたシェルティアだが、ある夜、村はネメシスと呼ばれる魔物たち二体に襲われた。シェルティアは包丁で応戦、二体とも倒してのけるが、村はシェルティアの一家以外全滅してしまっていた。
偶然通りがかった軍の部隊に声を掛けられ、シェルティアはネメシス対策組織であるアイギスに所属することに。同室になったアンネッタと仲良くなり、元貴族のメリッサには敵視されつつも、配属された討伐隊では副隊長のジュードに教えを受け、アイギスという新たな居場所に馴染んでいくが……。
長い物語の第一巻という印象。帝国が周辺国を支配下に置いているという設定や、ネメシスが次第に増えつつあるという情報、終盤で唐突に登場した集団と思想など、二巻以降が出た時に活用される(あるいは疑問が解消される)ものなのかと思われる。
シェルティアの成長を主軸としながらも、ライバルキャラであるメリッサ、あるいはジュードらの気持ちの変遷も描いていて、単なる主人公の噛ませ犬や持ち上げ役に終わっていない点がいい。