・宇宙から女の子がやってくる
・主人公は泥棒
その2つだけを聞くとSFチックで現実離れしているように思えますが、最初から最後までとってもリアリズムなんですよね。現代ドラマにカテゴライズされている理由がよくわかります。
そういう事態になった際のこの国での生き方というか、地球での存在の基盤の組み立て方とか、作中の手続きを踏む必要があること、とても納得しました。著者と主人公がそこに責任を持っているから、物語に一本太い柱が通っています。泥棒が宇宙人の存在の確立のために懸命に誠実に駆け回る姿、端的に言って最高でした。
人物の魅力として、庇護欲を掻き立てられる、いわゆる「守ってあげたい」系の女子は紙一重で憎まれてしまうものですが、宇宙人ちゃんはとっても可愛いかったです〜〜!端的に言って好き〜〜!周囲が彼女のために行動する理由がよくわかります。魅力的でないと人は動きませんよね。
主人公の生き様も身が詰まっていて、創作がリアルを超えている感覚がありました。著者ならではの軽やかな筆致と主人公の語りの相性がバツグンで、とても面白かったです。
アウトサイド(そもそも一般的に真っ当とされるものは本当に真っ当なのか?)にいた人間が意を決してマウンドに立ち、目的を叶えようと行動すると不器用がゆえに遠ざけていた人間関係が組まれていく、そしたら人との関わりの中で育まれるものがあった、それを知ってしまったからもう離れがたくなってしまう………最高だ!!!
作中に織り込まれた穏やかな叫びのようなメッセージも感じました。
何度も読んでしまう気がしています。2周目待ったなしですね。