概要
今度はこの船で、港一番の船主になる
「そのガラクタで、うちの船に勝つつもりか?」
船商会の主人が笑う前で、十九歳のロアルは財布を開いた。買うのは、前の人生で自分を破産させた船だ。
六十七歳で生涯を終えたはずの彼は、最初の船を買う朝へ戻っていた。あの日の買い物で父の遺した金を失い、それからは雇われ船長として、他人の旗の下で海を渡った。自分の旗だけは、一度も揚げられなかった。
船が沈む場所も、その理由も、若い船大工が見落としている使い道も知っている。
「買う。ただし、その傷を隠した塗装まで、新品の値段には数えない」
まず代金を値切り、残した金で肝心の一か所を直す。笑っていた商会主の新造船を、古い船が港の出口で追い抜いた。
「今度はこの船で、港一番の船主になる」
小さな船倉でも運べる荷。大きな船が入れない港。帰り道に買
船商会の主人が笑う前で、十九歳のロアルは財布を開いた。買うのは、前の人生で自分を破産させた船だ。
六十七歳で生涯を終えたはずの彼は、最初の船を買う朝へ戻っていた。あの日の買い物で父の遺した金を失い、それからは雇われ船長として、他人の旗の下で海を渡った。自分の旗だけは、一度も揚げられなかった。
船が沈む場所も、その理由も、若い船大工が見落としている使い道も知っている。
「買う。ただし、その傷を隠した塗装まで、新品の値段には数えない」
まず代金を値切り、残した金で肝心の一か所を直す。笑っていた商会主の新造船を、古い船が港の出口で追い抜いた。
「今度はこの船で、港一番の船主になる」
小さな船倉でも運べる荷。大きな船が入れない港。帰り道に買
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