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軽いの反対は重いか? 謎のヘビーノベル

 最近ちらほらと見かけるようになった「ヘビーノベル」なる謎の言葉。そのまま受け取るなら「重いノベル」ですが、当然ながらそんなジャンルは聞いた事もなく、ふとググってみても「川上稔の小説はヘビーノベルだよね(単行本が小説らしからぬ分厚さ)」とか、「ラノベを外で読むのが恥ずかしいから洋書カバーを付けてヘビーノベルを装ってみた」とか、出てくるのはネタ記事ばかり。

 自称している人たちは多分「ライトノベル」に対しての「ヘビーノベル」という事が言いたいのだと思いますが、そもそも自分の文章が軽いと見られるのが嫌だったら、わざわざライトノベルと言わなくてもただの小説、あるいは最近出てきた「ライト文芸」とでも言えばいいのに、妙な造語のせいでちょっとイロモノ目線を送ってしまいます。

 定義も色々あるでしょうが、自分が記憶するに「ライトノベル」は当初、「若者が読みやすい軽い小説」といった、揶揄も込めた言葉でしたが(とりあえず『風の大陸』や『ブギーポップ』ぐらいの頃は存在してない)、それでも数多くのヒット作の登場によりラノベは浸透し、今では当たり前の単語になっています。

 アニメやゲームさながらの個性バリッバリの美形の少年少女が出てきて、ファンタジー世界やSF世界で冒険を繰り広げる荒唐無稽な内容でも、重厚な話や壮大なドラマはいくらでもあるでしょう。でも、そういった作品を書店に行ってどこを探すかと言われたら、まず「ライトノベル」か「ライト文芸」コーナーでしょう。だっていい歳した大人(アニメや漫画に抵抗を感じる層)はもう少し普通の小説を読みますし、空想的な内容は基本的に若年層が好む題材です。

 なので、いくら重い物語や設定を気取っていても、ファンタジーなどの非現実的なテーマを題材としている時点でそれは「若者が手に取りやすいライトノベル」だと思いますし、そこにわざわざ「ヘビーノベル」と造語で名乗っていると、「あっ、この人は自分の小説がラノベと認識されるのが嫌なんだな」と邪推してしまいます。きっと「ライト」という単語にマイナスイメージが強い方々なのでしょう。

 ただ、よくよく考えたら「ラノベと見られたくない」という事は、少なからず自分の書いているものが「ラノベとも取れる内容」と自覚しているのであって、結局は「これはラノベです」と自白しているようなもんだと思うので、あんまり意味ないんじゃないかなと思いました。そもそも軽いか重いかなんて読者次第ですし、読み応えはまた別の感覚だと思いますし。

 かくいう自分はどうなのかと言われると、スマホでサクサクと読むご時世に「1話をいくつもパート分けするの嫌だから」という理由で1話7000字とか平気でやるあたり、多分ヘビー(1話の文量が長過ぎる)ノベルなんだろうなあと思いました。

 話自体は90年代あるあるの「子供がファンタジー世界に召喚される系(そこで強力な力を授かり活躍する。ただ転生ではないので、元の世界に帰るのが一つの目的となる)」なので、間違いなくラノベとは思いますけどね。

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