前回に引き続き、同題異話の自分が書いた話についての諸々と、それにかこつけて好きな音楽について話すだけの記事を上げていきます。
必ずしも各話のイメージソングのようなものではないこと、各アーティスト様とは全く関係ないことにご留意の上で、話半分に聞いて頂ければ幸い。
ついでにこのつらつらとした文章を読んで下さった方が、良い曲と出会えたなら更なる幸い。
あわよくば「この曲も合いそう」とか「この曲好きそう」とかも教えて頂きたいですね。ええ、是非に。
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■ 七月号 コップの中の漣
https://kakuyomu.jp/works/1177354054886448026 タイトルを見てパッと浮かんだイメージが、飲み物の上に浮かぶミニチュアのヨットと、それが進んだことで広がる漣。
ありきたりかなぁ安直かなぁと思いつつ、絵面は結構気に入ったのでそのまま進むことに決定した。
四月から三人称→一人称→二人称で書いていたので、じゃあもう一度三人称で書いてみようと思った覚えがある。
ただ、ヨットから先のストーリーが中々膨らまず、話の筋は全て浮かんでいるのに表現や文体で悩んだ先月とは逆に、話の筋が大変な難産だった月だった。
人の心がミニチュアの舟に見えるのは良いとして、それがどういう話になるんだ?
頭を抱えて初めの数日はゴロンゴロンしていた。途中幾つか色々な展開を考えたが、それも中々しっくり来ず、このままだとただ景色を書くだけで終わるんじゃないか、等と不安に駆られたりもした。
結局色々と引っ掻き回してくれる花田君にも視えるようにしてもらい、それでようやく色々と話が進みやすくなった。
初めは特にSFにする予定も無かったのだが、この時点で方向がなんちゃってSFに舵を切っていたような気がする。船なだけに。
何通りか終わる方向を模索しながら少しずつ書く中で、気が付いたら何か違う設定も色々と盛り込んで着地していた話。完全に当初のイメージからは予定外だった。
もっと後味の悪い話にしようかなとか、逆にオチがあるようなコミカルな話にしようかなとか考えていたはずなんだが、おっかしいなー。
オルタナティブの設定自体は結構面白いと自分では思っているので、そのうちどこかに使いたいと密かに考えている。
因みに腸内細菌云々の下りは「心を操る寄生生物」という本で書いてあったことが何となく脳内にあった。
この本後半は人を選ぶ内容ですが、前半部分はトリビア満載だし、自分の感情や心も疑わしくなる感じで滅茶苦茶面白い。いつかそういう話も描きたいなぁ。寄生虫系が苦手じゃなければ前半だけでも一読の価値があると個人的に思っています。おすすめ。
海外の大学に留学した日本人学生同士の、あの距離感を書きたかったのだが、その箇所含め学生らしい部分は断片的にしか出せなかったのでそこの反省点は次回に生かしたいところ。
話の進行の邪魔にならずに細かい話を出すのが難しい。あれこれさっきも言った気がする。
名前の由来は、花田は別の話の登場人物から、性格もほぼ変わっていないです。三船はレディ・プレイヤー1を観た直後だったので安直にトシロウ→三船敏郎→三船に。ハタノは完全なるノリだった。
曲のチョイスはジャズ系のインスト。
花田の性格と語り口に合わせ、なるべく軽快なリズムをとれるような曲にお世話になった。
fox capture planやtoeのアルバムも流していた。
いやー全体的に、とにかく音がお洒落。格好いい。
合わせてもっとお洒落な感じの話にしても良かったなぁとも思うんだが、花田にお洒落なことさせてもなぁ。
toconoma – relive //www.youtube.com/watch?v=XLvp2HzCtOo
bohemianvoodoo - Adria Blue//www.youtube.com/watch?v=gjDrEdEzfQc
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■八月号 火花を刹那散らせ
https://kakuyomu.jp/works/1177354054886577022火花で咄嗟に連想したのが「すぐに死ぬ生き物の命」。
深海生物とか光る生き物が大好物なので浪漫と夢を詰め込んだ。夏休みだし、自由研究ぽくてちょうどいいんじゃないかな、と。
書き始めるのが早かったのと、イメージがまとまりやすかったこと、後はファミレス夜明かしが効いた模様。それまでで一番早く形になったし一番早く投稿できた(尚その記録が後に破られることは無かった。つらい)
夜の話だから夜中に書きたいと、深夜星を眺めながら自転車爆走してファミレス探してウロウロするのは中々に楽しかったです。新聞配達のお兄さんに変な眼で見られたけど。
明確に頭に浮かんでいる映像を、どれだけ正確に書けるかの勝負だった。何ならイメージ画も描いた。
滅茶苦茶目を凝らして言葉を尽くそうとしたのだが、もっと色々な言葉で表現できるようになりたい。
ただ、話のイメージを形にする、という意味では結構手ごたえを感じた話でもある。
背景の町の雰囲気をあまり書けなかったのは少し残念だが、あそこで文字で書いていても蛇足というか、余分な情報になってしまったかもしれない。情報の取捨選択がいつも難しい。
執筆中のお供曲は猫叉Master+のKung Fu Empire。一曲をひたすらループしていた。
タイトルからして恐らく話の内容とは全く合っていないんだが、イメージ内での星火仔の光の軌道のテンポと合っていたので大変捗りました。
(これは大変な余談なのだが、星火仔の読み方は広東語採用なので、普通話とは音が若干違うルビを振らせて頂いた。読み方ズレてね? と思った方がいたらと思い、念のため補足)
元々はゲームの曲らしく、テンポもメロディも勢いがあって格好良い。雨の降り出した時っぽい出だし(※個人の感想です)からすっと入ってきて、聞いていて楽しいのに作業の邪魔にならない。
公式動画は無かったが、アップルとかアマゾンの音楽ストアで視聴できます。
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■ 九月号 さいわいなことり
https://kakuyomu.jp/works/1177354054886894126 実はこのタイトル、元々浮かんだイメージは二通りあった。
一つは「誰もいなくなった世界崩壊後の廃墟で一人踊る人」(People in the Box の「ダンス・ダンス・ダンス」のMV//www.youtube.com/watch?v=0AUfrjdBEog が
好きすぎてすぐに影響を受ける)、
もう一つが今回書いた「さいわいな『子取り』」という言葉遊びだった。
三人称が続いたから一人称の話をするかなぁ、折角言葉遊びのようなものをするのだし、軽快な感じが良いなぁと落語風のものを書くことに。
因みにこの辺りからようやく「ブラウザで自分の文体は読みにくいのでは?」ということに気が付いて改行を心掛けるようになった。
ラストの一言は思い付きでひょいと足してみたものだったのだが、結果元々とり屋や商店街の人々にある「不気味さ」が更に出てくれた気もする。因みに水飴を譲ってくれた紙芝居屋は、多分六月に書いたあの人です。ゲスト出演。
これもあまり音楽がいらなかった話のようで、書いている間何か聞いていた覚えがあまりない。
まぁ落語だし、背景音楽は使わないよなぁ。
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■ 十月号 モンスターへ乾杯!
https://kakuyomu.jp/works/1177354054887154511小学生と怪獣当番。
この二つのキーワードが真っ先に浮かび、つなぎ姿に潜水服のようなヘルメットとマントの恰好の怪人も浮かんだ。問題はこいつらの因果関係。全く以て繋がらない。
断片しかイメージが浮かばず、それらを一ヶ月という短い期間で膨らませ、繋げ、ある程度の形にするのにたいそう苦戦した。何なら三十一日の夜まで苦戦していた。誇張じゃなく本当に。今度こそもう駄目なんじゃないかと何回か思った。結果過去最大の滑り込み参加をかました。
ふり返ってみれば、物凄く勉強になった月だった。あらすじなんかでも言ったが、いつか長編というか、ちゃんと児童小説としても書いていたいと思う位には愛着もある。
余談だが、個人的にお気に入りのシーンは亘がかいじゅうを追いかけて草むらに向かう場面。正直映像で見た方が分かりやすいんだろうなぁ…と思いつつ、必死に文字で追いつこうとしていたのも今では良い思い出です。
お供というか、話を練る時にお世話になった曲がiaitokyoというグループの「燦々行脚」という曲。
自然と行進したくなる歌なのだが、これをずっと聞きながら細かい部分をあれこれと考えていた。
以前イベントのブースでたまたまデモ映像を拝見し、一目惚れというか一耳惚れをしてCDを買った歌でもある。
iaitokyo – 燦々行脚 //www.youtube.com/watch?v=_bbhPikGtI4
リンク先にCDのクロスフェードがあります。燦々行脚は1:16辺りから。
絵柄も好みなんだよなぁ。
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■ 十一月号 図書館暮らし。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054887446325これまで10000文字程度の完結した話を一本ずつ書いていたので、そろそろ短い連載のようなものにチャレンジしてみようと思い立って書いてみたものの、結局最後のエピソードを上げたのは三月になってからのことであった。
これだから遅筆は。反省します。
それまでイメージがつかめていたのに、十二月に入ってからフッと途切れてしまって書けなくなった。書こうとしていた内容は覚えているのにテンポを思い出せない感じで大変もどかしかった。
三月になって必死に書いた結果、何とか最後はテンポの一割くらいは思い出せたかなぁ。対策を練るのが今後の課題か。
裏コンセプトは「ボルヘスっぽい話を書いてみたい」だったのだが、果たしてそれっぽさが出ていたのかは私にも分からない。
ただ、「こんな図書館住みてぇな」と思いながら色々と配置図とかイメージ図を書きつつ話を膨らませるのは本当に楽しかった。いやー、図書館住みたいな。
因みにこの話、自分はハッピーエンドだと思っています。
作業のお供はOFFというフリーゲームのサウンドトラック。
主にClockworkをかけていた。
(何故そこは図書館のあるZone2の音楽ではないのかと書き終わってから気が付いたんだが、モーター音の雰囲気が合っていたんだから仕方ない……)
ゲーム自体も友人に薦められてプレイしたのだが面白かったです。
他の曲も良いですよ。ゲーム制作者が「音無しでこのゲームするなんざありえん (意訳)」と初めに言うのも頷けます。
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長くなってきたので今回はここまで。
あと一回だけ、気力が続けば続きます。