水が飲めない。
水やお茶を飲むと気持ちが悪くなってしまうので、
水分補給が極めて難しい。
現在主食がおかゆであり、味噌汁は何故か飲めたりするため、
まるっきり水分摂取ができていない訳ではないが、
おそらく腎臓にかなりの負担がかかっているに違いない。
あまり喜ばしい状況ではない。
吐き気止めはもらっているのだが、それでも水が飲めない。
薬を飲むためのほんの少しの水に対する忌避感が凄い。
それでいて喉が渇くなどといった体が水を求める症状が出て来ないので、
意識しなければ一切水を断ってしまうかも知れない。
まこと厄介な話である。
放射線科の医師に言わせれば
「比較的放射線治療の副作用が出にくい」体質らしい。
普通ならもっと酷い副作用が出ていてもおかしくないのだそうな。
抗ガン剤も効きやすいしな、
まるでガンになるために生まれてきたような体と言える。嬉しくないが。
現在出ている放射線および抗ガン剤による治療の副作用は
吐き気、食欲不振、口内炎、味覚障害、倦怠感、水に対する忌避感、
首筋から湧く膿、顔左側面の皮膚が粉を吹く、鼻の内側が荒れる、
などがある。
しかし放射線治療三十五回の予定で
既に二十四回を済ませていることを考えると、
口の中全体が口内炎になって真っ白な膜が張るとか、
顔左側面の皮膚がズルリと剥けてしまうとか、
そういった酷い状態になっていても不思議はないとのこと。
考えようによっては非常にラッキーとも言える。
それでも自分が苦痛に押し潰されそうになっている現実を前に
この事実が慰めになるかと言われると、まったくそんなことはない訳だが。
すべての治療が一旦終了するのが今月二十八日である。
あと二週間ちょっと。後ろを振り返れば旅程も七割くらいを終え、
残り僅かにも思えるのだが、まだこんなにあるのかというのが正直な実感。
また放射線治療の副作用は治療終了後二~三週間でピークを迎える。
一番酷い状態になるのはまだ先だということだ。
それを思うとウンザリしてしまう。はあ、ため息ため息。
まあ何にせよ、水分は補給しなくてはならない。
かろうじて味噌汁は飲めるし、ゼリー飲料も何とか摂れるのだ。
カラッカラのミイラにならないよう頑張るしかない。