「埋めちゃおうか、二人で」
ビールを飲みながら語るのに相応しい声だった。空になりかけの缶を振りながら、アルコールにぼやけた瞳で、にへらという感じに笑いながら言うに相応しい声だった。
多々野は「ちょうどさあ」と窓の外を親指で差す。
「庭あるんだよねえ。今暗いからあんまよく見えないけど、雑草ボーボーのヤツ。トマトでも育てようかなとかちょいちょい考えたりするんだけど、耕すの面倒臭くてさ。あれってどうやればいいんだろうな」
「庭……」
「そこに埋めちゃってさ、ついでに庭耕すの。畑作んの。そしたら地面の色変わってても分かんないじゃないのかな。一人だと絶対やれる気がしなかったんだよねえ。だからさあ、手伝ってよ。耕すの。そしたら俺も埋めるの手伝ってやるからさあ」
それは明らかに犯罪だった。多々野が提案しているのは、明らかに犯罪だった。だから言った。それって、犯罪じゃないか。多々野は笑いながら言った。
「だってお前、人殺しちゃったんだろ?」
じゃあ埋めるしかないじゃん。自首とかやめとけって。お母さん悲しむよ? こうやってビールも飲めなくなるよ? 多々野は手の中のビールを煽ると、あ、ねえや、と呟いて冷蔵庫に歩いていった。台所の方から、多々野ののん気な声がする。
「お前も飲む?」
僕は答える事が出来なかった。多々野は缶ビールを一本だけ持って戻ってきた。そしてプルリングを開ける、直前、手を止めて僕の事を見つめる。
「あ、とりあえず死体回収しないとまずいか。死体、何処あんの? 取りに行こうよ。ビールは……ま、帰ってきたらでいいや」
(ツイッターで見掛けたネタを自分なりに書いた練習文)