3月24日、本のフェス@神楽坂・日本出版クラブ会館で、
編集者 佐渡島庸平 × 元プロデューサー 角田陽一郎 によるトークイベント
「これからの作家デビューの方法とは」
を聴いてきました。
執筆をしていく上でとても有意義な内容でした。
ここで活動をずっとされている方たちには、もう分かりきったことなのかもしれない。
でも私にはヒット作を出す編集者がどういう観点で作品を判断しているか、というのはとても興味深く、勉強になりました。
これだけSNSが発達した中で作家としてデビューする方法について、賞をとるという既存のルート以外での有り様を俯瞰することから始まり、表現に関わるコンテンツがファンビジネスであり、だからこそ書き手対象のイベントとしては、ストレートに小説作品の本質について語っていました。
webでも紙でも、書く小説が長く読まれかつ残るために必要なのは、世の中の絶対的なあるいは普遍的なテーマを織り込むこと。
ただそれを卑近なものへどうやって落としこむか。
落としこむ、という表現は少し違うかな。
卑近なものに読者の意識を誘導し近づけていく、という感じかな。
(はしごをかけていく、と佐渡島さんは表現していました。それがやっぱりぴったりかもしれない)
そこへ至るアプローチの仕方は人それぞれで、そのテーマへの道筋こそがオリジナリティになるし、小説を書く一つの妙なんだろうと。
じゃあ世の中の絶対的なテーマって、というと、佐渡島さん曰く、
生死
愛
善悪
文学ですね。
でも小説を書いている人たちは、多かれ少なかれ、意識している分野だろうなあ。
ただ耳に痛い言葉だったのが、そのテーマで執筆していたとしても腹落ちしていないとダメだよということ。
これは私という人間にもあたるのですが、「浅い」んですよね、私の。
きつかったです。
だからしっかりその作品がもつテーマと向き合い、そこを突き詰めることが大事ですね。
その上でリアリティは絶対的に必要だし、
単語ひとつに対しての鋭いアンテナも必要だし(コピーライターはこれこそが命だよね)、
主人公の心理的な使用前使用後的な変化も必要だし、
その使う言葉全てに内容に繋がる意味がきちんと明確にあり、それをきちんと伝わるように使えているかの、膨大な反復作業も必要だし。
当然かもしれないけれど、地道に取り組んでいくのはとても根気がいる。
だからこそ、そこへどれだけ頭と身体(五感)とで労力をかけられたかが、一つ大きな岐路かもしれないなあと思いました。
きちんとテーマを意識しながら、
そこのための情報量の交通整理をしつつ、
金太郎飴のように文章のどこを切り取っても、書かんとしているテーマを感じられるものを書きたい。
そう心底思ったイベントでした。