• ミステリー
  • SF

海賊島の墓標・あとがき

拙作をご一読いただき、ありがとうございました。

 まえがきで書いた通り、本作の最初のタイトルは「そして俺は生き残った」、当然、生き残った人物が他の人間を殺害した犯人だと疑われるのだが、真犯人は別にいた――というプロットだった。
 もっと面白く、もっと意外性の溢れたものに、と悪戦苦闘している内に、今の形になった。殺人の舞台となった島を消してしまうというアイデアを思い付いた時は、これだ! と思ったのだが、島を消す為に幾分、無理をしてしまった。
 孤島を舞台にした連続殺人事件を題材にする以上、見立てが必要だと思った。そこで仏教の五戒を使ってみた。他に八斎戒や十戒がある。「そして誰もいなくなった」が十名の人間が被害者となる話なので、最初は犠牲者を八人にしたかった。だが、序盤が冗長になりそうだったのであきらめた。
 アガサ・クリスティ女史も大好きな作家だ。「そして誰もいなくなった」に影響を受けた横溝正史先生が童謡殺人をやりたくて、「獄門島」や「悪魔の手毬唄」を書いたそうだ。自分のような横溝ファンの中には、クリスティ女史の作品も好きな方が多いのではないだろうか。
 ちなみに最初に見た「そして誰もいなくなった」の映像作品は映画だった。砂漠のホテルが舞台だったので、随分、雰囲気の違う映画だった。「オリエント急行殺人事件」の映画版が出色の出来栄えで、ラストで感動に包まれた。もっとクリスティ女史の他の作品を見たくなって、「そして誰もいなくなった」を見たのだが、がっかりした記憶がある。調べてみると、どちらも1974年の作品だった。
 2015年に英国BBCで放送されたドラマ作品の「そして誰もいなくなった」は文句なく面白かった。
 中国・武漢市には行ったことがあって、黄鶴楼も見ている。登ったはずだが、長い階段を登った記憶があるだけで、後はほとんど覚えていない。
 阿佐部・近藤コンビの作品は本作のみ。また愛媛県を舞台にした作品を書きたくなったら、阿佐部・近藤コンビの再登場があるかもしれない。
 基本的に作品世界は統一してあるので、警視庁捜査一課の竹村・吉田コンビは、他にもいくつかの作品に登場している。

※第十作目の長編小説

【黄鶴楼部屋割り】

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する