拙作をご一読いただき、ありがとうございました。
「神饌(しんせん)」とは神様にお供えするお供え物のことです。
第一稿のタイトルは「生首村」、そこから何度か書き直している内に「右手に血刀、左手に生首」とタイトルを変えた。そして、更に書き直して、タイトルが現在の「生首の神饌」となった。
ある時、市川崑監督、石坂浩二さん主演の金田一耕助シリーズが放送されていた。それを見て横溝正史先生の作品を読みたくなった。だが、横溝先生の作品はあらかた読みつくしている。そこで横溝作品に近い作家の作品をあれでもない、これでもないと思い描いた。
すると、頭の中で声がした。
――無ければ自分で書けば良いじゃん!
これが推理小説を書き始めた動機だ。
小説なんて書いたことが無かったが、構想を練ると、それらしきものが湧いてきた。試しに書いてみると、ひと月ちょっとで四百枚を超える小説が書けてしまった。そこから十一度、推敲を重ね、書き直したのが本作。
――ああ、これ、横溝正史のパクリじゃん!
で構わないので、横溝テイストを感じてもらえれば嬉しい。
犯人当ては左程、難しくないかもしれない。但し、動機を当てるのは、かなり難度が高くなっている。
野村芳太郎監督、渥美清さん主演の映画「八つ墓村」のラストで、金田一耕助が説明する宿縁の深さにゾッとさせられた。そのテイストを取り込みたくて、源平の時代を描く必要があった。「推理小説を書くのが初めてなのに、時代物なんて無理だ~」と半泣きでなんとか書き終えた。
苦労した甲斐があって、小説の最後の一行、最後の泰章の台詞に、物語のキーとなるギミックを仕掛けることが出来た。
※第一作目の長編小説