お久しぶりです、生きてました、出雲蓬です。
Twitterでは生存していたのですが、事情が重なり小説を万全の状態で書ける有り様ではなく、更新が滞ってしまい申し訳ありません。近日中にはデザイアの更新ができると思います。あと最近ドグラマグラを読了しました。わからないことがわかったし、わかることも多少あった、不思議な感覚を抱かせる小説でした。しかし評判に見合った読後感があり、大変満足です。もし興味があれば皆様も呼んでみてはいかがでしょうか。
さて、まずはちょっとした自分語りをば。
実は今年の五月頃、とあるソシャゲにハマりまして、まさかの人生初のガチャ天井をしでかすほどどっぷり沼に沈んでいました。まぁ、シャニマスなんですが。
何故そこまでハマったのか、自分なりに考えてみたのですが、キャラ一人一人の魅力は当然の事の様にありますが、まず挙げられるのはそのストーリーの文学的美しさに魅了されたからでしょう。ソーシャルゲームと言う媒体の性質上、地の文と言うのはまず使用できないのは昨今のゲームに多少触れていればわかるでしょう。ソシャゲに限らず数多のストーリーの含むゲームではそれは必然的に付き纏うものであり、私が知る数少ない例外はNieR:Replicantの神話の森ですね。
それはさておき、地の文が制限されることは同時に人の心理を描写する手段が減ってしまう事であり、例え立ち絵と声が存在するそれらゲームでも、露骨に出すべきではないがプレイヤーにはそれとなく提示したい情報が必ずあります。そういった時に地の文が無いと、その表現と言うのは中々に苦戦する中途の壁になります。
しかしシャニマスは、その制限による一種の表現の狭さを逆手に取り、暗喩、つまりはメタファーを巧みに用い、時には物を、時には背景の移り変わりを、言葉を用いずに表現しています。それは一人の小説創作に携わる人間として、尊敬し、感銘し、しかし嫉妬しながらも魅了されるものになっています。
当然全てのストーリーが卓越していると諸手を上げて頷き続けることはありませんが、しかし一人の創作者として、そのストーリーの組み立て方と、多感な時期の少女達の複雑な心理を描くその様に呑まれ、ずっぷりと沼ってしまった次第です。
あとは俗っぽくなりますが、何分自分はオリジナルの小説でもわかる人には筒抜けだとは思いますが、他者に危害の無い面倒臭い精神構造の少女、女性を特に好む性質があるため、シャニマスのアイドル達は尽く刺さりました。箱推しですが、特に好きなのは恋鐘、三峰、咲耶、冬優子、ノクチル全員です。はい。
あとシャニPも大好きです。Pドル大好きおじさんです。
さて、蛇足的な話もここまでに、本題へ行きましょう。
今まで短編長編と書き連ねてきましたが、特に現在更新中の長編散策の主人公と言うのは当然ながら私の思想や思考が特に色濃く反映されていると言っても過言ではない存在です。いわば半身とも言えます。勿論私ではないですが。
そんな彼ら彼女らですが、私の更新スピードの遅さや表現の稚拙さでそのキャラの芯や根幹と言ったものを十二分に表現できていないと、私自身は考えています。それをどうにか緩和するため、今回は私が解釈する主人公三人の解釈をここでちょろりと出していこうかと思った次第です。でも本心はただ設定語りたいおじさんです、マインドは中高生のまま。
では一人目は、G:MDの主人公である400分隊隊長のアンドロイド、蓬。ペンネームと名前が同じなのは元々は診断メーカーで出来たビジュアルを採用したうちの子だったからです。
彼女を『アンドロイド』として設定した上で、一般的に欠かせないものと言えば人間との乖離に次第に悩み苦しむというのは多かれ少なかれ提示される課題だと、私は考えています。ですが、彼女にはその問題を抱かせることはありません。そもそも蓬には、その煩悶に対する答えと言うものは既に答えを作り上げたからです。
アリスと言う人間的に未熟であり正しい教育を施されていない少女を相手に、まるで親のように接する彼女にはその乖離の苦悶はありません。蓬は自分自身が引き取った哀れな少女を、それでも今の過酷な世界の中で比較的マシな場所で生きる事を維持させるよう注力し、望む様に生きていけるよう施すと既に決めています。そこに新たな悩みは発生しません。それは李雨との関係においてもそうであり、李雨の抱える問題をなんとなく察しながら、それに自分が触れるべきではないと、李雨にとって心地の良い空間を維持する事を心掛けています。
では、私が蓬に課したものは何か。
それは、『贖罪』と『衰退』です。作品全体のテーマとしては破滅への抵抗ですが、彼女個人の課された言葉はその二つになります。彼女自身がまだ完全に自己と人間の乖離、そして己の存在への答えを見出せていなかった時、彼女と、同じ存在である艾を救った者との関わりと終結によって蓬と艾は答えを見出し、今の様子と相成る。彼女たち自身の存在が『贖罪』の必要性を生み、そして自ずから『衰退』する事を目的とするため、今後の彼女と彼をそれを取り巻く話の続きは、どうか進みゆく物語の影で己も他社も縊り上げていく姿を見て頂けたらと思います。
二人目、デザイア主人公である生徒会風紀取締役員の我妻銀士郎。彼は恐らく三作品の主人公の中で最も面倒臭く、最も複雑で、一見理路整然としているように見える姿と、自身のエスとスーパーエゴで苦しむ、ある意味精神的苦痛の描写が最も多い存在だと思います。
彼の行動理念と言うのは一見明瞭な様でどこか不明瞭に感じるかもしれません(或いは私の表現の拙さのせいかもしれません)が、その根幹は一貫しています。
まず自意識の中で強烈に縛り上げた倫理観などを根とするものには、『誰か』に【献身】し、どんな【自己犠牲】を払ってでも『誰か』を助け、そして複雑化した『誰か』の悩みや問題を【調停】する。それが我妻銀士郎。ここで重要なのは、基本的に彼にとって、自分自身と言うのは極めて希薄で優先順位の低いものだと自認している点です。特定の存在に寄るのではなく、不特定多数のために無償の優しさを振りまく。それが自分の抱える魔性をより精鋭化しているとも自覚せずに、ですが。
そして対照的に、本性からくる行動に対する影響傾向は【篭絡】、【感化】、【固執】になります。その一見深く慈愛に満ちた、ある種誰にでも真摯であるが故の相手が受け取る特別な扱いのような錯覚は銀士郎と言う男から生える蔓足で絡み取られ、更には浩然としてはっきりとした思考による論理回答は相手を感化させ、その二つが合わさった結果として固執される。そういったメカニズムによって人を絆し、しかしそれは普遍的な愛であり自分の魔性から目を背けたいが故の回避行動だと知った時、裏切られた、人間のする事ではない、人を好きなように弄んでおいて、そういった答えに至り嫌悪される。それが大体の常。
それでもなお、彼に固執し、求めた時、人はどうなるのか。その答えの一つが雪乃という訳です。割と我妻銀士郎は、私の中では優しく真面目で逃れられない人間失格の烙印が焼き付いた、酷い男と言う認識です。勿論いい部分も作っているので愛情も愛着もありますし、寧ろ私としてはそういう個の方が可愛いと言いますかね。
さて長くなったこの文も最後の節。三人目はアルケミストの主人公である錬金術師カイネ。彼の場合、三人の中では最も問題点が少ない主人公だと私は考えています。蓬のように存在に対するほの暗さも、銀士郎のように舵の効かない害ある性質も無い、優秀な人間と言う形で出力しています。ですが、彼自身にもその首を締め上げんと伸びる、後悔と自責に塗れた過去はあります。力が無い為に大切なものを奪われ、それを探し助ける環境は絶望的で、己の地位を確立させるまでの道程は責苦でももう少し優しい血反吐を吐くものでした。そして彼は、己の身を顧みない手段を簡単に行使するほど自身を軽視し、その行動はリーゼと似通う同族嫌悪の関係になっています。軽視する理由は違えど、やっていることは同じ故に。
そして彼にはまだまだ秘密が多く、それは人も自覚していないことも多々あります。錬金術師とその他の人々や国との確執、賢者の石とそれにより生まれる罪、失ったものとの非情の邂逅。ある意味感性としては蓬や銀士郎より多少普通であるカイネがどう苦しむのか、それをこれからかけて言ったらと思います。
長々と書き連ねてしまいましたが、結局ここにいくら書こうとも絵に描いた餅。今後の展望は、私の観が幾分か落ち着いた時にまた安定した更新が出来たらと思います。それまで待たせてしまうことが多いかもしれませんが、どうか気長に付き合って頂けたら幸いです。
最近はシャニマスのゲームやPドル二次創作、アークナイツにお熱になったり、にじさんじの剣持刀也の二次創作に手を出したりとふらふらした作者ではございますが、今後ともお付き合いいただけたらと思います。あと話の合う方が居れば是非語りあいたいですね。好きなものが共通していて話せるのはとても楽しいですからね。
では、今回はここまで。近日更新予定のデザイア最新話までしばしお待ちを。