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雨霽レ月朦朧ノ夜ニ

……病苦の人はしるべなき旅の空に此の疾を憂ひ給ふは、わきて胸窮しくおはすべし。其のやうをも看ばやといふを、あるじとどめて、瘟病は人を過つ物と聞ゆるから、家童らもあへてかしこに行かしめず。立ちよりて身を害し給ふことなかれ。左門笑うていふ。

死生命あり。何の病か人に伝ふべき。これらは愚俗のことばにて、吾が們はとらずとて……

                         ――『雨月物語』菊花の約より



ようやく「雨晴れ月が朧げに見えだした」のですから、そろそろこういうくだりを持ち出してくる人がいてもよい頃だと思うのですが、はてさて、どうもそうはゆかぬらしい。

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