若菜紫

虹の光は波に映し出され。刻一刻と色を変える。潮の満ち引きによって絶え間なく流離い続ける、砂浜と海のあわいと、あたかも連動するかのように。そんな一瞬一瞬の心の揺れと絆を綴る。

未来がすべて美しい夢で彩られていた幼い日々。幼少期、思春期から青春時代を経て 母となった今、両親をはじめ家族に思いを巡らせ、綴る感謝と新たな決意の記憶。

春が訪れるたび、花々は咲き、蝶が飛び交う。愛の一瞬一瞬を過ごし、振り返り、再び愛の瞬間に触れ、私の思いも駈け巡る。 軽やかに、しかし力強い羽撃きへの想いを綴る。

闇の存在は光を生み、嵐の中には虹が秘められている。反転するかのように現れる情景の輝きと愛の喜びを幻想的に謳う。

贈られた花。花束、鉢植え、そして花を象ったアクセサリー。忘れられない会話やエピソードを思い出させてくれる、四季折々の輝きを、短歌という一輪一輪に蘇らせ、花束を紡いでいく。

時を重ねるほどに、想い出は深まり、色鮮やかな花のように香りはじめる。一瞬にして終わることのない記憶の数々を描く。

学校から帰ると、ランドセルを放り投げるようにして遊んだ日々。仲間と共有している秘密というレンズを通して見れば、神社の境内や公園などのありふれた風景でさえ、壮大な冒険の舞台になるの…

虹のような煌めきを重ねていくと、ある種の既視感を覚える。その記憶を二人で辿る時、胸を過る情景は恐らく互いに異なるものとなろう。そのぶつかり合いの最中にこそ、巡り会う地点を見出だす…

子どもの幼年時代は、意識しないうちに遠ざかってゆく。そして、A.A.ミルン「くまのプーさん」に描かれている「夏の最後の一日」が訪れるのだ。子どもの幼年時代にまつわる想い出やエピソ…

子どもとの時間は、待ち焦がれたものであっても、悩みや後悔の連続に向き合ううち、瞬く間に過ぎ去ってしまう。あたかも、もがきながらトンネルを抜けた後で、今しがた通ってきた場所に煌めい…

色の三原色を重ね塗りすると黒に近づいて いくが、光を重ね塗りすると白に近づいていく。想い出も光のようなものなのだろうか。重ねるほどに輝いていくのだから。 詩作の筆を置いて十年余り…

自分とは何か―答えを求めて彷徨う記憶の渚は霧に閉ざされ、彼岸を視ることは永遠に叶わない。自身とのめぐりあい、情熱そして青春時代との決別へと向かう日々のやるせなさを綴った、一つの時…

お互いを意識しながらもなかなか距離を縮められずにいる、幼稚園時代からの幼馴染・絢音と聖一。ある出来事をきっかけに二人の仲は接近するが、それは重大な事件の幕開けだった。歴史に翻弄さ…

約束を果たせないまますれ違ってしまった祖父と孫。思い出の場所で起こる、優しい奇跡の物語。