数年前に、『アナと雪の女王』という映画があった。
ディズニーはあまり得意ではないが、話題になった作品は全部見るのが、私の信条なので、この作品も見に行った。
字幕版と吹き替え版、二回を見たのだ。
作品の良し悪しに関しては、いつも通りここで語るべきではないので、置いておく。
私がこの作品を見て思ったことは、『訳』である。
ディズニー映画吹替の背景には、言葉の意味よりも唇の動きをリンクさせる、という基本概念があるらしいので、それは分かるのだが、それにしても、言わせてもらいたい。
かの有名なテーマソングのサビの終わり
『ありの~ままの~』というあれだ。
私が気になったのは、『The cold never bothered me anyway』……日本語では『少しも寒くないわ』と訳される部分だ。
字幕版から見た私は『寒さなんて平気よ』という訳をすんなりと理解し、納得した。
英語が日本語からかなり遠い言語なので、訳すこと自体が一苦労なのは理解しているつもりだが、『The cold never bothered me anyway』という文章と、映画の内容、キャラクター心情から考えて『寒さなんて平気よ』はとてもしっくりくるし違和感がない。
だが!!!
だがしかしだ。
吹き替え版の日本語歌詞の『少し寒くないわ』はちょっと違うのではないか。
もちろん、その言葉自体ももっと奥底の寂しさを隠した気丈な言葉であると深読みすることもできるが、それはさすがに深読みのし過ぎというものな気がする。
つまり、そこまで深読みしないのであれば、
『寒さなんて平気よ』
は、
『少しも寒くないわ』
にはならないし、してはいけないのだ。
なぜなら、
『少しも寒くない』のは、寒さを感じていないが、『寒さなんて平気よ』は、寒いけど、それよりも優先するもの、得たもの(=ありのままの自分、自由)と比べれば、些末なことに感じるわ、というやせ我慢というか、取捨選択の結果の心情が込められている訳だ。
これは似てるようで、まったく違う意味合いになってしまう。
……ということを、知り合いに語ったら、『はぁ、そうかもね』と言われた。
面倒くさく作品を見すぎか……??