• 現代ファンタジー

帰ってきたリリスちゃん〈#箱〉の巻

#箱
インベーダーに箱(仮想空間)の中に閉じ込められ、蒸気文明と楽しかったあの頃、の光景の中で過ごすリリスちゃん、

僅かな違和感からそれに気づいて脱出……

というのは、それも箱の中の夢。

現実は浪漫が失われただただ何も変わらない同じような毎日、誰もが「やむを得ない」「仕方がない」とうわごとのように呟きながら矮小な日常に溺れて暮らす現実世界、灰色の21世紀。
ああ夢から覚めるんじゃなかった……
箱の中にいるべきだった……

……というのはまたしても夢。

「箱の外に箱があるなら、それもまた壊して外に出るのみ!」
と喝破し、悪夢を打破して、蓮太郎ともともも再度現実に帰還する。

「これもまた私に勝った、という都合のいい夢ではないと言い切れるか」という揺さぶりにも、不敵に笑い、

「おまえの夢はけちくさくてつまらなかった。わしならもっとうまくやれる。この現実がつまらなければそれも破壊するのみよ」と叩き返し再起動させたフェンリルちゃんの一斉砲撃で今度こそ完全撃破。

戦いの後で、
「正義の探偵も悪の科学者も存在しない世界は、平和かもしれないけどとても恐ろしいところだった。……でももしかしたら、あんな世界の方を望む人の方が多いかもしれない」と思いにふける蓮太郎だが、リリスちゃんはそれもまた鼻で笑う。

「そんなのわしが知るものか、あの世界はつまらなかった!夢を見せるなら最後までいい夢を見せろと言うのじゃ」

臆面もなくそう言い放つリリスちゃんに、蓮太郎は
(やっぱりこの子あぶねーな
 目ぇ離せないや……)
と苦笑いするのだった。

……という、後半クールの一幕。

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